30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

ブログタイトル

わたしが認知症の人と関わるときに大切にしている7つのこと。

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はじめに

この記事を書いたきっかけは今年5月6日に

大阪・高槻市で73歳の妻が

寝たきりの認知症をもつ夫(76歳)の介護に疲れ、

食事を与えず、死なせてしまう事件をみたときでした。

www3.nhk.or.jp

わたしの利用者にも老老介護

夫が認知症をもち、妻が支える人を知っていたので、

この事件を見て、非常に悲しかったです。

 

また、親が認知症を抱え、その子どもが支える

人たちも多く、介護による負担は相当大きいです。

 

なので、今回は認知症の介護が少しでもラクになるように

わたしが認知症の人と関わるときに大切にしている7つのこと

を紹介したいと思います。

 

1、認知症は病気ではない。

まず、「認知症」は病気の名前ではありません。

 

認知症とは

脳に疾患や老化などが起きて、脳の機能が低下し、

日常生活をおくることが難しくなった状態

をいいます。

 

たとえ、アルツハイマー、脳血管性、レビー小体型などで

脳の働きが弱くなっても、普通に生活できれば

認知症とは呼びません。

 

そして、認知症を病気と決めつけない姿勢は、

一人の人間としてみるために、もっとも大切なことです。

 

もし、認知症の方を病人をみてしまうと、

認知症の悪化を防ぐことに注目がいってしまいます。

 

でも、本来は脳がうまく働かなくても

日常生活に影響を与えないように周りが変化すれば

対応できることもあります。

これは認知症介護の最も大切な考え方です。

 

その視点に立つためには

まず「認知症」を病気として見ないで、

正しい理解をすることが大切になります。

 

2、認知症といっても人それぞれ症状は違う。

認知症にはアルツハイマー、脳血管性、

レビー小体型など種類があり、

それぞれ特有の障害はみられることがあります。

 

しかし、実際に認知症の人に向き合ってみると、

お腹減ったと何度も言う人、暴力を振るう人、

ただボーっとしている人、トイレが上手くできない人、

その多様さに気づくことができます。

 

いわば、認知症は個性といってもいいです。

 

適切なケアをするためには

認知症」における思い込みを捨てて、

その個性を知ることが大切になります。

 

ありのままに受け入れる態度

ができれば、相手の気持ちが理解でき、

その気持ちに合ったケアにつなげることができます。

 

3、相手の覚えていること、できることをみつける。

わたしは認知症の方と関わるとき、

その人のできること、覚えていることを中心に

見つけるようにしています。

 

専門用語で「ストレングス視点」と呼びます。

 

例えば、「字を書く」「歌を唄う」「折り紙を折る」

など、人それぞれできることが必ずあります。

その残された能力を発見する作業は

試行錯誤の繰り返しですが、とても楽しいです。

 

あと、洗濯ものをたたむ、テーブルを拭くなどの

普段、介護スタッフがする雑用を

利用者に手伝ってもらうことも有効な方法として

使っています。

 

先月は利用者とタケノコの皮を剥いたり、

フキのスジを取る作業をしたりして楽しんでいました。

 

4、話すとき、何度も同じことを言ってもいい。

最初に福祉施設に勤めたころは、いろんなことをはなして

利用者を楽しませようと考えていました。

 

でも、最近は認知症の人と会話するとき、

ほぼ90%同じことを話しています。

 

その理由はシンプルです。

「いま覚えていることを大切にしてほしいから」

 

やっぱり、認知症の人にとって、

新しいことよりも、今まで覚えていること

を話す方が安心感があり、笑顔もみられます。

 

また認知症の人は、同じことを言っても

忘れてくれるので、嫌がることも少ないです。

ごくたまに「同じこと言ってる」と怒られることは

ありますが、しばらくすれば忘れるので

特に問題はないです。

 

5、何度も刷り込みをすれば、覚える可能性はある。

認知症の人は忘れやすいというイメージが強いですが、

何度も同じことを繰り返せば、それを覚えることがあります。

 

心理学用語で「刷り込み」といいます。

 

私の施設では、軽度の認知症持つ女性に何度もオセロ

の遊び方を教えていたところ、ルールを理解して、

今はスタッフの協力なしで他利用者と遊んでいます。

 

わたしは

認知症があっても、何か新しいことができるかもしれない」

と意識しながら、同じ作業を繰り返して刷り込みをしています。

うまくいかないことも多いですが、

成功したときの感動はスゴイので、頑張っています。

 

6、「帰宅願望」という言葉をつかわない。

これは介護スタッフによくみられるのですが、

やたら、家に帰りたいと訴える認知症の人を

「帰宅願望」があるという言葉で片づけてしまうことが

あります。

 

でも、「家に帰りたい」ってそれぞれ理由が違うのです。

 

例えば

  • 施設にいるのがつまらないから帰りたい。
  • 家族に会いたいから帰りたい。
  • 日が暮れるまでに帰りたい。
  • バスに乗り遅れるから帰りたい

などいろいろあり、時には相手を理解する上で大切な

情報も含まれていることがあります

 

この「帰宅願望」というワードは

その人の訴えたいことを隠すものと考えているので、

わたしは使っていません。

 

わたし自身のことばで、ありのままに

その「帰りたい」様子を表現するようにしています。

 

7、あえて相手と距離をおくのも大切。

怒り出して、コミュニケーションが全くとれないときは、

あえて距離をとり、遠くから見守っています。

 

すべての人に通じることではありませんが、

認知症の人は目の前に誰もいなくなると、

急に落ち着くことがあります。

 

話しても駄目なときは自由に行動させて

怒りが静まるのを待つのも1つの手段として

使っています。