30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

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神奈川・大和市が、認知症のある市民がおこした損害賠償をまかなうスゴイ保険制度を作ったよ!

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はじめに

 

2017年に神奈川・大和市で、認知症の人が

徘徊などの事故で発生した損害賠償を

公費でまかなう保険制度を作りました。

 

これは全国で初めてのことであり、

これから高齢化で認知症が増加する日本に

とって、もっとも注目すべきことなんです!

 

なので、今回はその賠償保険について、

解説していきます。

 

大和市がはじめた賠償保険について

大和市は徘徊の恐れがある認知症の市民を守るために、

福祉施設や警察など連携をした

「はいかい高齢者等SOSネットワーク」という事業があります。 

 

認知症の市民がそのネットワークに登録し、

その登録情報を関連機関と共有することで、

登録者が徘徊で行方不明になったときの

早期発見・保護を担っています。

 

そして、2017年にそのネットワークに登録した

認知症の方相手にけがを負わせたり、

物を壊したりした時などで発生した

損害賠償」を保険でまかなう制度を全国初で創設しました。

 

そして、支払われる賠償金は

最大3億円まで、その保険料は

大和市から支出されることが

決まっています。

  

きっかけは2007年に愛知・神戸市で起きた踏切事故

 

この保険ができた背景には 

2007年に愛知県神戸市で、認知症の男性(91歳)が自宅を飛び出し、

徘徊中、電車にはねられて死亡した事件が大きく関係しています。

 

JR東海は、この事故で発生した振り替え輸送など約720万円の損害賠償を

その妻と横浜市に住む息子に対して、要求する裁判を起こしました。

 

妻と息子2人とも最高裁で「賠償責任はない」とされ、

JR東海がほとんどの負債を背負う結果になりました。

 

しかし、大和市のような保険制度があれば、

事故が起きても保証されるので、

被害者から損害賠償をめぐるトラブルはなくなるでしょうね。

 

詳しい内容は以下の記事で紹介しています。参考まで。 

www.social-walfare.work

 

介護者に最大のメリットがある!

認知症介護って、自宅に閉じ込めずに

人間らしく過ごせることが大切にされています。

 

その実現には家族の協力が不可欠ですが、

民法における「監督義務」が大きな壁となっていました。

 

認知症のように責任能力がない人が相手に損害を与えた場合、

その人には罪は問われないかわりに、

その親、家族監督義務者」として、

罪を問われることがあるんです。

 

だから、介護する側は積極的に関わるほど、

監督義務者になるリスクが高まるので、

安心して介護ができない現状がありました。 

 

結局、外で事故を起こさないために、カギを掛けて認知症の人を

閉じ込めるようになってしまうんですね。

介護施設でもよくあります・・・

理想の認知症介護と逆の方向に進んでいますよね。

 

今回紹介した大和市の保険制度は、たとえ「監督義務者」になり

損害賠償を支払うことになっても保証されるので、

介護者は、徘徊を心配せずに介護ができるようになります。

 

これこそ、介護者にとって最大のメリットなんです!

 

このような大和市のような動きが全国に広がっていけば、

もっと認知症介護が良くなっていくでしょうね。楽しみです。