30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

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知的障害を持つ人はなぜ社会的差別を受けやすいのか、兵庫・檻監禁の事件を通して考えてみた

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はじめに

 

精神障害を持つ人への差別は世界各地で問題になっていて、

日本でも頻繁にニュースで取り上げられます。

 

そんな中、2018年4月に兵庫県三田市で知的障害のある長男(42)を

檻(おり)に閉じ込めたとして、父親(73)が逮捕される事件が起きました。

 

この事件は行政による対応の悪さだけでなく、

精神異常者を隔離し、日常生活から排除され、自由に生きる権利を奪うことが

平然と行われている所にも大きな問題があります。

 

ある意味、相模原市の障害者施設で起こった殺人事件と同じぐらい重大なニュースです。

 

今回はこの事件から、精神障害を持つ人は

なぜ社会的差別を受けやすいのか考えてみました。

 

一畳の広さしかない檻に25年以上も閉じ込められていた

この事件は、妻が病院を退院して自宅療養の相談をした時、

父親の方から長男を檻に閉じ込めていると職員に伝えたことで発覚しました。

 

きっかけは三田市に転居してきた1990年代前半から長男が暴れたり叫んだりするようになったからです。

 

近所から何度も苦情を受けため、家族だけでは手に負えず、

プレハブを建てて一人で過ごさせます。

 

それでも壁をたたいて窓ガラスを割ることもあり、

壁に手が届かないようにとプレハブの中央に檻を作りました。

 

その檻は一畳の広さ、高さ1mしかなく、

約25年以上閉じ込められたままでした。

 

市の対応は適切だったのか

この事件では、

行政のサポートが不十分だったと指摘されています。

 

実は長男は障害者手帳を取得しており

父親を含め家族は20年以上前に市に相談何度もしていました。

しかし、福祉サービスは受けていませんでした。

 

本来、障害者手帳をもっているのだから、

サービスは使っていなくても

市は定期的に様子を見るべきだったという声もあります。

 

また、市は監禁状態を確認した後も

長男を福祉施設に入所させるまで4日間、

檻に閉じ込めたままで、

警察に通報するのも、その約一か月後だったそうです。

 

本当の問題点は「精神障がい者への理解の無さ」

 

確かに、市の対応は悪かったですが、

近隣の理解がなかったことも大きな問題です

 

そもそも長男を閉じ込める動機は

近所に迷惑がかからないようにするためでした。

 

自宅で監禁と聞くと、逮捕された父親のモラル不足が原因と思われがちです。

 

しかし、保護されたとき、長男は「健康」と診断されていますので、この監禁行為は父親の虐待とは考えにくいです。

 

むしろ、近隣などの周りの人による偏見と差別が父親を追い込み、隔離という結果を招いたと思われます。

 

もし、近隣に障害者への理解と知識があれば、家族も苦しむことなく、

長男を助けることができたかもしれません。

 

この事件に見える「障がい者を排除したい気持ち」

 

市や近隣の不寛容な対応には、

「精神異常者は厄介だから排除したい」

という気持ちがあるのではないでしょうか。

 

かつて、相模原の障害者施設で問題になった「優性思想」が、

この事件でもはっきり表れているように感じます。

 

事件現場の近くに住む40代女性は

「数年前から自宅の植木の手入れがされなくなり、生活感が感じられなくなっていた。息子さん(長男)がいたことは知らなかった

と話しています。

 

この長男を知らない発言は、近所の不満が契機で隔離されたのに、

そのまま周りの人から忘れ去られるという

「死」と同じような扱いを物語っています。

 

さらに恐ろしいことに、

私たちの多くはメディアも含めて、

この事件にある社会的な排除には関心がありません。 

 

一人一人がその問題に向き合い、

反省する態度がない限り、また同じような事件が起きるかと不安に感じます。

 

もし、この問題を本質的に知りたい人は

『異常の構造』を読んでみるといいですよ。

すごく役に立ちますよ。