30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

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お金を稼ぐことって本当に大切なことなのか、映画『牛の鈴音』を通して考えてみた。

はじめに

ネットや本を見ると、

「○○円稼げる方法」というキャッチフレーズをよく目にします。

 

でも、お金を稼ぐことって本当に大切なことなんでしょうか。

 

確かに、物やサービスが豊富にある現代において、

お金は生活する上で欠かせないものです。 

 

しかし、わたしたちはその物質的な豊かさの影に、精神的な貧しさを抱えて

生きているのではないでしょうか。

 

今回はそんなことを

ドキュメンタリー映画『牛の鈴音』を通して考えていきます。

 

映画『牛の鈴音』とは 

 

『牛の鈴音』とは韓国で制作された

農家を営む老夫婦と40歳の老牛によるドキュメンタリー映画です。

 

農夫のチェじいさん(79歳)は牛と働きながら、

ずっと昔からの農業を続けています。

 

牛の寿命は15年ほどいわれてますが、

この映画に登場する牛はなんと40歳!

 

ある日、かかりつけの獣医から

「この牛は今年の冬を越すことはできないだろう」と告げられてから、

物語が始まります。

 

問題をいっぱい抱えている老夫婦

 

このチェじいさんは頑固で、耕作機械や農薬の使用を嫌がるので、

農作業のすべてが手作業です。

 

奥さんは手作業による生活が大変なので、

耕作機械や農薬を使いたいと言いますが、

チェじいさんは「楽をしようとするな」と激を飛ばし、

認めようとしません。

 

なので、田植えは自分たちで行い、稲は鎌で刈り、

雑草は抜いてもすぐ生えてしまうなど大変な日々を過ごしています。

 

しかし、どれだけ苦労して働いても貧しい生活から

抜け出すことができません。

 

いわゆるワーキングプアと呼ばれるものです。

 

さらに、この夫婦は共に後期高齢者であり、おじいさんは生まれてから

足が不自由というハンディキャップをもっています。

 

いわゆる老老介護ですね。

 

遠くに息子や娘は住んでいますが、一緒に暮らすつもりはありませんし、

老夫婦も「子らに介護されるのは嫌だ」とはっきり言ってます。

 

映画から見える「大切な事」

 

こんな「ワーキングプア」と「老老介護」問題を抱えた老夫婦ですが、

決して可哀想な感じがしません。

 

むしろ、その貧しい生活から

限られた資源の中でつつましく生きることの大切さ

教えてくれます。

 

つまり、お金がない、物が恵まれていなくても

人は幸せを感じることができるのです!

 

そして、この映画では他の農家が耕作機械を使っている場面が

何度も出てきて、老夫婦の生活と対比させる場面があります。

 

農業において、生産性を上げる、生活を楽にするには

機械を導入したほうが合理的です。

 

しかし、その代償として、助け合い、おすそ分けなど

地域コミュニティにおける相互扶助の社会関係が崩壊していく

恐ろしさを感じてしまいます。

 

最後に

今の生活をより良くしたい欲求があるから、

人はお金を稼ぎたいという気持ちになりやすいのだと思います。

 

しかし、お金や物に恵まれることが、

本当に大切なことではないはずです。

 

そんな現代に生きるわたしたちに、映画『牛の鈴音』は

とても重要な視点をくれます。