介護施設で利用者が38℃の高熱が出た時、
慌てたことはありませんか。
救急車を呼ぶべきか、
そのまま様子を見た方がいいのか
迷ってしまうかと思います。
私の場合、高熱が出た利用者をよく観察して、
原因を考えてから、次の対応を決めています。
特に、高齢者が38℃の高熱が出た時は
肺炎・尿路感染症・インフルエンザが
主な原因として目立ちます。
今回はこの3つの病気と判断するポイントを
まとめてみました。
1、肺炎
高熱を発生する1つの病気は「肺炎」です。
初期症状が風邪と見分けがつかない病気ですが、
日本における死亡原因の第3位でもあります。
しかも、肺炎で亡くなるほとんどが高齢者であり、
介護施設でも肺炎は発生率が高い病気です。
肺炎はウイルスや細菌が肺の中で
増殖して引きおこりますが、
それ以外でも肺炎は発生します。
特に高齢者における肺炎の原因としてよく見られるのは
- 誤嚥性肺炎
- 風邪、インフルエンザの後
この2つです。
誤嚥性肺炎とは、食べ物・飲み物を呑み込んだとき、
誤って、気管に入って引きおこる肺炎です。
年をとると嚥下能力は衰えるため、
高齢者は誤嚥性肺炎になりやすい傾向があります。
誤嚥性肺炎は高熱の他に、
呼吸苦、 肺の雑音があるので、
そのような症状が見られたら、病院へ行きましょう。
また、誤嚥性肺炎だけでなく、
風邪やインフルエンザが終わった後も
気管支がやられて、肺炎になる高齢者も多くいます。
2、尿路感染症
- 体温の変動がある
- 腰・腹部に痛みがある
- 全身のだるさ
このような症状が見られたら、尿路感染症を疑ってみましょう。
尿路感染症は細菌が尿道を通して膀胱や腎臓に
侵入して増殖して起きる病気です。
尿路が短い女性の方がなりやすい病気でもあります。
もし尿路感染と疑われる場合、水分を十分にとって、
脱水症状にならないように様子を見た方がいいです。
しかし、重症化すると命にかかわるので、
最悪、救急車を呼ぶことも視野に入れた方がいいでしょう。
ちなみに、尿路感染症は
基本的に陰部を清潔に保てば発生しません。
もし介護現場で尿路感染があった場合は、
スタッフの陰部洗浄が適切にできていない
可能性があります。
再発防止のために、入浴やオムツ交換時の
陰部洗浄を見直すのも大切です。
3、インフルエンザ
冬では、インフルエンザによる高熱もよく見られます。
初期症状は風邪と似ていて区別がつかないですし。
早い段階だと、
病院の検査でも引っかからないこともある厄介な病気です。
インフルエンザの判断基準は2つあって
- 38度を超える突然の発熱
- 所々の関節の痛み
この2つが見られたら、インフルエンザの可能性は高いです。
早めの受診をおすすめします。
冬の時期に平熱から急に38℃を超えたら、
まずインフルエンザを疑ったほうがいいでしょう。
もしインフルエンザにかかった場合、
まず病院で「季節性」か「新型」か
どちらのタイプか確認をしましょう。
新型であれば要注意です!
新型はワクチン接種では防げず、
感染力も強いので、隔離してウイルスを広げないようにしましょう。
あと、インフルエンザは
くしゃみや咳などの飛沫感染で広がるため、
乾燥した冬はウィルスが猛威をふるう時期です。
なので、「加湿」と「換気」をこまめに行い、
感染拡大しないように気を付けましょう。
頻繁に咳をする利用者を見かけたら、
近くにいる利用者・スタッフにうつる可能性があるため、
マスクを勧めたほうがいいでしょう。
そして、病院で処方される抗インフルエンザ薬(タミフル、ゾフルーザなど)
はウイルス増殖を抑える薬ので、発病から48時間以上経つと
すでにウイルスが増殖して効果が期待できません。
しかし、インフルエンザが終わった後も、
気管支がやられて肺炎になるケースや
再度、インフルエンザにかかってしまうこともあります。
なので、完治したからと言って、
気を抜かないことが大切です。