30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

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コミュニケーションを求める職場って、スタッフを疲弊させているじゃないのかなぁ

私は以前、老人ホームで働いたことがあります。

 

その時、女性パートさんがこんなことを言いました。

 

「老人ホームは体力的にキツイけど、

お話ができない利用者が多いから、私にとっては楽」であると・・・

 

私が昔働いていた老人ホームは、

寝たきり状態、重度の認知症を患う人がほとんどでした。

 

パートさんが言うように、寝たきりや、認知症の方は

入浴、食事、排せつの介助が多く、身体的なストレスが大きいです。

 

もちろん、利用者のほとんどは発語や脳の機能に問題があり、

黙った利用者で溢れて、話す必要がない環境でした。

 

そんな環境がパートさんにとって、働きやすかったようです。 

 

デイサービスについて

 

そして現在、老人ホームを辞めて、

デイサービスで働いています。

 

デイサービスは在宅支援が目的なので、

頭がしっかりとした、元気な高齢者が多いです。

 

だから、毎日、利用者を退屈させないように、

お話しないといけない場面が多々あります。

 

でも、自分は「話をしたくない」のに、強制的に話さないといけない職場って、

かなりしんどいんです。

 

だから、洗濯物や皿洗いなどの雑用を見つけて

なるべくコミュニケーションを避けようと

防衛機能が働いてしまいます。

 

「話したくない」自分に嘘をつく

 

雑用を見つけて、会話から逃げるスタッフもいれば、

無理やり発語して頑張るスタッフもいます。

 

でも、「話をしたくない」気持ちを抑圧して出た言葉は、

妙に大きく、明るい声で違和感を感じます。

 

何よりも、無理やり出した声から

「わたしは話したくないけど、仕方なくやっています」

いう暗黙のメッセージを含んでいるように思えます。

 

実は「話をしたくない」のに、無理に話す行為は、

相手に違和感を与える失礼な行為なんです・・

 

でも、しっかりとしたお年寄りは

その違和感を教えてくれません。

 

だって、その違和感を指摘すると嫌われて、

介護をしてくれなくなると困るからです。

 

また「話をしたくない自分」に嘘をつくことで、

自分自身も精神的ストレスにやられてしまいます。

 

このまま自分に嘘をつき頑張っていたら、

吃音やうつなどの病気が現れるかもしれません。

 

したくない自分に気づく

 

仕事で、苦手なコミュニケーションを克服する場合、

研修やセミナーに参加したり、本を読んだりして

スキルアップを図ると思います。

 

でも、どんなテクニックや方法を学んでも

「話したくない自分」をごまかすことはできません。

 

声の響きや身体から、苦手な気持ちが表出してしまいます。

 

結局、コミュニケーションを良くする初期段階は、

「話をしたくない自分」に気づくことから

始めることだと思います。

 

いわゆる「自己覚知」です。

 

この気づきによって「したくないことを一生懸命頑張っている自分」を

止めることができます。

 

でも、周りはコミュニケーションを求めている

 

「話をしたくないことに気づく」ためには

職場の上司やスタッフの協力が不可欠です。

 

本来、話をしたくないスタッフを見つけたら、

「無理して話をしなくていいよ」と言えるほどの

寛容な態度が必要かもしれません。

 

しかし、わたし達は、話をしたくないスタッフに対して、

イライラを感じてしまいます。

 

だから、一生懸命話すように促し、

無理して頑張ることを望んでしまうのです。

 

それが、スタッフを精神的に追い詰めて、疲弊させているんですね・・・

 

結局、周りがコミュニケーションを求めている限り、

コミュニケーションが苦手な方はずっとつらい思いをしてしまいます。

 

だから、「したくない自分」に気づくために、

まず、周りが過剰にコミュニケーションを求めるのを

やめた方がいいのではないでしょうか。