みなさんは「長寿」についてどんな印象をお持ちでしょうか。
一般的に長寿はおめでたいものとされていますが、
必ずしも、お年寄りはそう思っていません。
むしろ、長生きすることで「孤独」を感じ、苦しむお年寄りの方が多いです。
わたしが勤めている高齢者デイサービスの利用者を見ていると、
「子どもや孫が遠くに住むようになり、全く会いに来ない」
「足が悪くなって、友達の家に出かけられなくなった」
「夫や同級生が亡くなり、話す相手がいなくなった」
など利用者の「孤独」を感じることが多々あります。
今回はお年寄りが抱える「孤独」について考えてみようと思います。
親密な人が亡くなったとき、お年寄りは最も孤独を意識する
当たり前の話ですが、歳をとればとるほど、人との交流が減っていきます。
子どもや孫は家から離れ、配偶者や友人も亡くなり、
体力も衰え、外出もできなくなり、
やがては自宅で暮らすことさえ難しくなり、代わりに施設で暮らすようになります。
そして、お年寄りは身近で親密な人(妻、夫、同世代の友人など)が亡くなると
とても孤独感を感じます。
亡くなった人との親密度が高ければ高いほど、この孤独感は大きくなっていきます。
また、それと同時に自分にも「死」が訪れるという恐怖も襲ってきます。
特にうつを抱えているお年寄りは、
親密な人が亡くなると症状が悪化して、
自殺をしてしまうこともあります。
介護施設でも孤独は伝染する
実際、わたしが勤めているデイサービスでも
在宅ができなくなって特養老人ホームに行ったり、亡くなったりして利用が
終了する方々が多くいます。
その時に利用者がいなくなることで、他の利用者が孤独を感じてしまいます。
なので、介護職員は他の利用者に「孤独感」を与えないように
注意する必要があります。
例えば、利用者から「最近、あの人を見ないけど、どうしたの」と
尋ねられることがよくあります。
でも、他利用者が「亡くなった」
もしくは「特養老人ホームなどの施設に移った」などの情報は
利用者の孤独感を強めてしまうので、正直に言うのはやめた方がいいです。
わたしの場合は「しばらくお休みすると聞いてます」と
言って対応しています。知らないフリをするのが無難です。
老人ホームで愛し合う利用者は「孤独」と向き合っている
前に老人ホームで恋愛するお年寄りを取り上げました。
social-walfare-work.hatenablog.com
老人ホームの利用者同士で恋愛をするのは、わたしたちからすれば
信じられないと思います。
しかし、孤独を感じる高齢者にとって
好きな相手と一緒にいたいと思うのはごく自然のことなんですよね。
また、『孤独』は高齢者だれもが抱える「心の病気」であり、
この病気を癒すには、もっとも利用者と近くにいる介護職員のケアが大切です。
だからこそ、介護職員は利用者とコミュニケーションを取り、
孤独感を和らげていく役割も求められます。