ソーシャルワークの仕事といえば、
人の相談を聴き、応じることが一般的ですが、
どんな仕事があるでしょうか。
基本的には児童、障がい、高齢者福祉分野で
相談業務に就く方が多いですが、最近では
病院で働く医療ソーシャルワーカーも増えてきました。
しかし、この分野以外でも生活課題を抱えた人がおり、
ソーシャルワークを発展できる可能性があるんです。
今回はソーシャルワークおける画期的な取り組みを行っている
2つの仕事を紹介していきます。
1、ゴミ屋敷の課題解決
よくニュースで取り上げられる「ごみ屋敷」
周辺住民の苦情を聞き、役所の人がやってきて
強制的にゴミを撤去する対応もよくみられます。
しかし、汚い部屋だとしても集めるゴミは様々であり、
その原因も違います。
そんなゴミ屋敷の住人にフォーカスした事業があるんです。
100円家事代行サービスで知られる「御用聞き」という企業が、
片づけられない部屋に、ご本人立ち合いのもと
課題解決を図っています。
しかし、いきなり片づけはせず、
最初の30分間は、ごみ屋敷の住人と話をする時間を取っています。
その30分間で、相手の気持ちに寄り添い、
汚部屋に住む人の心に合わせた支援を行うのが特徴です。
ゴミ屋敷はどうしても近隣住民の苦情が中心で、
強制的に処分されやすいもの・・・
しかし、「なぜごみを集めてしまうのか」
その原因を見つけなければ、
本当の解決にならないでしょう。
また、 「御用聞き」の100円家事代行サービスも
とても良くできた事業なので、過去の記事で紹介しています。
現在、学生ボランティアを募集しているので、
社会福祉士の学校にいる方は参加してみる価値はあると思います。
2、AV産業で働く女性への支援
わたしたちの周りでは、キャバクラなどの風俗や
またアダルトなビデオのようなAV産業で溢れ、
その経済規模は約6兆円あると言われています。
その中で、未成年の少女に年齢を偽って風俗で働かせたり、
AV出演に強制される被害などに搾取される人たちがいるんです。
手口もいろいろあり、インターネットで、
パーツモデル、アイドル募集と名乗り、ハードルを低くして、
性産業に引き込むケースもある一方・・・
都会に出た地方の女性、家出をした少女などに
スカウトが親身になって話を聞いて、関係を築いた上で
AV業界の仕事を紹介されることもあります。
現在、この問題に取り組んでいるのが、
ぱっぷす(PAPS)というソーシャルワーカー団体です。
「ぱっぷす」は性的搾取に会う女性を対象に、
ソーシャルワークを基盤とした支援を行っています。
実際の活動を知るために、わたしは「ぱっぷす」が主催する
活動報告会に参加しました。
スーパーバイザーを配置をしたり、
ボランティアの相談員を活用したりと
社会福祉士のノウハウを実践で応用している点は
スゴかったです。
一見、社会福祉とは関係なさそうに思える性産業ですが、
実はソーシャルワークが活用できる分野であることを
改めて認識することができました。
まとめ
ソーシャルワーカーが対象とする相手といえば、
多くは児童、障がい者、高齢者だと思います。
しかし、それ以外にも「ごみ屋敷に住む人」や、
「性産業の被害に会う女性」もソーシャルワークの対象なり、
その時代によって、支援対象は変化するものなんです。
「児童」「障がい」「高齢者」など
既存の福祉事業にとらわれずに、もっと広い視野で社会福祉を見る姿勢が
社会福祉士にとって大切な要素になりますよ。