30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

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このままだと要介護1,2のヘルパーとデイサービスが使えなくなる!?2024年介護報酬改正の問題点

財務省の介護報酬改定案がやばい

2024年は介護報酬の改定であり、介護業界にとって、

サービス料金が決定されるので、非常に大切な時期になります。

 

しかし、

財務省が介護報酬に対して、要介護者1・2の人が利用する

ホームヘルプ・デイサービスを総合事業に移行しようとしています。

 

これを聞いても、ピンとこないと思いますが、

このままだと要介護1,2の

ヘルパーとデイサービスが使えなるかもしれません。

 

今回はこの介護報酬改正案についての問題を取り上げていきます。

 

要介護、要支援について

まずは要介護・要支援についてさらっと説明します。

 

年を取って介護保険サービスが必要になった時、市役所の職員が

直接伺いに行き、どれくらいの介護が必要なのか調べます。

 

その度合いを要介護度と言い、

介護がもっとも必要な場合は「要介護5」なります。

軽度になるにつれて、「要介護4、3,2,1」と下がります。

 

要介護1の下に「要支援2,要支援1」の2段階があります。

 

要介護度が高いほど利用できる介護保険サービスや利用回数は増えていきます。

 

今回、財務省が対象としているのは要介護1,2の方です。

 

個人的な感覚でいうと、要介護1,2は、

頭はしっかりしているけど歩行器、車いすを利用している人、

認知症があるけど身体はしっかりしている人によく見られます。

 

 

総合事業とは

 

財務省の改正案では、要介護1,2の方を「軽度者」とし、

ホームヘルプ、デイサービスに関して、

従来の現物給付ではなく、総合事業に移行することを勧めました。

 

では、総合事業とは何でしょうか。

 

「介護予防・日常生活支援総合事業」(以下、総合事業)とは、

おおざっぱに言うと、高齢者が要介護状態にならないための支援です。

 

国は介護人材不足や財政負担を減らすため、

また、ボランティアや民間団体などもサービスを行えるようにし、

サービスの受け手である高齢者も自ら担い手になることを

期待し始まりました。

 

現在は要支援1,2の方を対象に

健康体操ような身体機能を改善していく事業から、サロンなどの居場所づくりなど

様々な角度から介護予防を進めています。

 

そして、主体は「市町村」が行い、地域に合ったサービスを行っていますが、

実際のところは、ボランティアの担い手になる地域がほとんどなく、

高齢者にとって使いづらい制度になっています。

 

総合事業のもう一つの目的

 

総合事業は介護予防だけでなく、

介護サービス費の抑制を目的としています。

 

国としては、地域やボランティアや民間の力を取り入れて、

介護予防を進め、取り組もうとしています。

 

しかし、実はもっと大事なことがあります。

総合事業は予算が決められており、

市町村は、その中でやりくりをしなけばならないところです。

 

あらかじめ、国と県が負担する上限額を設定して、それをオーバーする場合は

その全部を市町村が負担する仕組みになっています。

 

そして、平成28年に、財政的な理由から、従来の給付から

要支援1、要支援2の方が利用するホームヘルプ、デイサービスが

総合事業に含まれることになりました。

 

もちろん、予算が限られているため、保険者である市町村は

要支援のホームヘルプ、デイサービス利用数を抑える方向にいきます。

 

2024年には、要介護1・2の方もホームヘルプ、デイサービスを総合事業に含めて、

財政負担を下げようとしています。

 

やっていることは逆効果

 

ホームヘルプ、デイサービスの利用者は

要介護1・2の方が大半を占めています。

 

なので、財務省はこれらのサービスを総合事業に含めて、

介護サービス費を削減したいのでしょう。

 

しかし、本当に削減する必要があるのでしょうか。

 

今までサービスを受けていた人は利用回数を減らされ、

さらに住民主体・民間によるサービスも少ないため、

かえって状態悪化になり、介護負担を増やす可能性もあるでしょう。

 

また、利用回数が減れば、ホームヘルプ、デイサービス事業所の経営は厳しくなり、

人手不足がさらに深刻になることもありえます。

 

2024年介護保険改正案は非常に問題だらけです。

 

高齢者や介護関係で働く方だけでなく、将来の自分のために、

興味を持ってもらいたいです。