30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

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【現代社会と福祉が苦手な人向け】サッチャーの新自由主義について説明してみた。

「現代社会と福祉」の分野で頻出するワードとして、

イギリスにおけるサッチャーの「新自由主義」があります。

 

政治、経済が絡んでいるので、苦手な方もいると思いますが、

日本の福祉やコミュニティなどを考える上で、非常に重要です。

 

なので、今回は、1970年以降におけるイギリスの福祉政策について

注目していきます。

 

サッチャーの新自由主義とは

第二次世界大戦後のイギリスは、社会保障が手厚く、

国家が市場に介入し、資本主義の長所を維持しながら、

貧富の格差や生活不安などが起きないようにしていきました。

 

いわゆる「福祉国家」と呼ばれるものです。

 

しかし、1970年代になると、第1次、第2次オイルショックが起き

イギリスは、物価高と経済停滞による財政悪化が

深刻な問題となっていました。

 

1970年後半ごろは、労働組合は賃上げを求めて、ストライキが頻発し、

公共サービスがストップすることもありました。

 

不安定な状況下で、福祉や公共サービスにおける財政逼迫や、

国が主要な産業を担うあり方に疑問が持たれるようになり、

新自由主義」という思想が強くなっていきます。

 

ちなみに、新自由主義(ネオリベラリズム)とは、

国による経済活動は最小限して、

市場(一般企業など)で行える事は市場にまかせて、

市場で行えないものは、個人、家族、コミュニティで対応する考えです。

 

言い換えれば、国家に頼るのではなく、市場原理と

自助努力を重視した「小さな国家」を目指します。

 

そして、1979年から、サッチャーが首相となり、

新自由主義を基盤とした政策が進められました。

 

サッチャー新自由主義の特徴

サッチャーの新自由主義の特徴は

「生産性の高い産業へのシフト」を行ったことです。

 

長年、イギリスの経済を支えていた炭鉱や造船事業をやめて、

もっと生産性の高いサービスへの切り替えを推進しました。

 

しかし、炭鉱や造船で働く人達から大きな反発を招きます。

当時の労働組合は政治に大きな影響力を持ち、

政策実現への障害になっていました。

 

なので、サッチャーは労働組合をおさえるために、

法や警察による統治を強化します。

 

具体的には、労働組合立法を通じたストライキの規制強化、

警察による弾圧を行い、労働組合による反発を抑えつけました。

 

結果的にサッチャー側が勝利し、労働組合は解体され、

新自由主義の政策を進められることになります。

 

サッチャーは財政健全化のため、

社会保障費削減、国営企業の民営化、金融緩和などの

政策を行いました。

 

さらに、教育にも市場原理を取り入れ、国全体の学力水準を引き上げ、

国家による中央集権化を目指していきます。

 

サッチャー政策の問題点

 

サッチャーよって、経済は回復したものの、

新自由主義の政策は、弱者に厳しい側面があります。

 

例えば、公的扶助を受けている人は、昔の福祉国家に依存している

スティグマとしてみられていました。

 

また、消費税を導入し、所得税は減税になり、

企業やお金持ちが優遇され、貧富の格差が拡大しました。

 

さらに、人々は今まで地域で行っていた事も、市場に任せるようになり、

地域社会の結びつきが弱くなりました。

 

新自由主義は、経済の不自由を解放する一方で、

昔からあるコミュニティを壊す側面があります。

 

つまり、政府を小さくして、市場を拡大する「新自由主義」は、

事実上、家族や地域のつながりを弱めてしまうのです。

 

同じネオリベ政策を取る日本

新自由主義な政策はイギリスと同じ時期に

日本でも導入されていきます。(アメリカでも行われました)

 

日本に関しては、小泉政権の郵政民営化、

アベノミクスにおける「第3の矢」(民間投資における成長戦略)が

ネオリベに当たります。

 

社会福祉分野においては、1997年に「社会福祉基礎構造改革」があり、

2000年の「介護保険制度」によって、介護事業が民営化されたことが

ネオリベ的な政策と言えるでしょう。

 

実はサッチャー政権の根幹となる新自由主義は、

現在の日本による政策にも関係があったのです。

 

この背景をおさえておくと、現代社会と福祉の問題が

ぐっと解きやすくなると思います。