はじめに
日々支援をする中で、よく耳にする「ソーシャルワークの専門性」
授業やテキストで説明されているんですが、
イマイチ分かりづらいし、実際の支援では役に立たない感じがあります。
今回は分かりづらい「ソーシャルワークの専門性」を、
別の角度で考えてみました。
ソーシャルワークの専門性について
まずはテキストっぽく専門性について考えてみます。
ソーシャルワークは、何か困っていたり、弱っていたり、
社会的立場が不利な人などを支援します。
医師や介護士のように、直接的に相手をケアするものではなく、
ソーシャルワークは、本人が抱えている問題に対して、
本人自身が主体となって解決できるように導きます。
支援者にお任せするだけではいけないんですね。
そして、ソーシャルワークには
「個人と環境との相互作用」というものがあり、
①個人
②環境
③個人と環境の接点
以上の3点へ支援者(ワーカー)は働きかけて、
相手の問題を解決していきます。
つまり、ソーシャルワークの専門性は、
「その問題を抱えた本人」と「本人を囲む環境」の関係性を用いて、
本人が主体となって解決できるように支援する所にみられます。
依存先が多いほど自立できる
これからが本題です。
ソーシャルワークの専門性を分かりやすく説明するため、
その前提となる「自立」の意味について、
動画を通して考えてみます。
小児科医の熊谷さんは「自立」の必要条件として
①依存先が多い
②依存先に支配されない
をあげています。
ちなみに、依存先というのは、
家族、友人、会社、地域という関係だけでなく、
お金や自分の身体、頭脳など個人が所有するもの・能力も含まれています。
熊谷さんにとって、自立している人(健常者)は
依存できる資源が豊富にあるので、
目的を達成するための選択肢が多いと言います。
逆に依存先が少ない人(障がい者)は、頼れる資源が限られるため、
その依存先に支配されやすいとも言います。
つまり、自立と依存は正反対な意味ではなく、
依存先が多い状態が「自立」なんですね。
ソーシャルワーカーは依存先を見つけるプロ
「自立」が「依存先が多いこと」としたら、
ソーシャルワーカーは依存先を見つけるプロフェッショナルです。
ワーカーは相談者から話を聞いて、頼れる人、
公共機関、使える制度などの社会資源を見つけて、
問題解決への選択肢を提供してくれます。
そして、提示された選択肢をもとに、
相談者に決めてもらい、支援をしていきます。
依存先が増えることで、問題が解決したり、
今まで支配された関係性から解放されたりします。
(いわゆる「エンパワメントと解放」というやつです。)
一言でまとめると、
ソーシャルワークの専門性とは依存先を見つける(または増やすこと)で選択肢を多くして、相手の意向を聞き、支援する。
その結果、相談者が自立できるようになるわけです。
さいごに
今回はソーシャルワークの専門性について、
変わった視点で取り上げました。
自立を「依存先が多い状態」としたとき、
ソーシャルワークの専門性は「依存先を見つけること」
に発揮されます。
専門性はとても曖昧でわかりづらいですが、
この記事から少しでもヒントがあったらうれしいです。