30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

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【年金減額】物価高騰中に、なぜ年金カットされるのか、簡単に説明してみた。


物価が高いのになぜ年金が減額されるのか

食べ物、ガソリン、電気代、衣類、あらゆるものが値上げされ、

かなり出費が気になるようになってきました。

 

相次ぐ値上げラッシュの中、2022年4月から年金の受給額が減ったことは

ご存じでしょうか。

 

年金生活をしている高齢者にとって、

本来は受給額を上げるべきなのに、

なぜ減額することになったのでしょうか。

 

今回はその原因を簡単に取り上げていきます。

 

原因の背景について

年金は、現役世代、または企業から保険料を徴収して、

その中で高齢者に給付する制度になっています。

 

しかし、平均寿命が延び、少子化の進行もあり、

必要な年金給付額は増加し、負担者は減少しているので、

保険料だけのやりくりでは、負担者や企業に大きな負担をかけてしまいます。

 

なので、国も負担をして年金制度を支えています。

 

日本の社会保障において、

年金による国の歳出は年々増加しており

2022年には12兆円を超えました。

 

国としては、年金をカットして、国庫負担を下げたいと思っていますが、

受給額が減ると高齢者から強い批判が出るため、

簡単に変更することができません。

 

なので、国は複雑な制度を導入して、国民に分からないようにして

年金受給額を減らしたり、受給年齢を引き上げたりしてきました。

 

物価高なのに年金減額になったきっかけ

 

物の値段が上昇した時、年金額も同じ水準に上げないと

高齢者の生活が苦しくなるため、受給額の調整が行われます。

 

しかし、あらゆる物の値段が高いのに、年金が下がることになったのでしょうか。

 

それは、物価上昇しても、負担者の賃金が上がっていなければ、

受給額を減らせる仕組みを作ったからです。

 

少し詳しく話すと、国は年金負担を抑制するために、

2004年に「マクロ経済スライド」を導入しました。

 

マクロ経済スライドとは、年金額を物価に連動するように調整し、

現役世代の賃金、負担者数や平均余命の伸びを考慮して、

年金の上昇率を抑える仕組みです。

 

例えば、物価が2%上がったら、

年金額も一緒に2%上げなければ、生活が厳しくなります。

 

しかし、マクロ経済スライドが発動されると、2%より少ない状態で

年金額は上昇するので、事実上減額をされていることになります。

 

ただ、マクロ経済スライドは物価が上昇しないと発動できません。

現状、2004年以降、日本は物価上昇が少なく、

マクロ経済スライドの効果が出ていませんでした。

 

そのため、2016年に「年金カット法」が成立し、2018年4月から

物価上昇がなくても、現役世代の賃金の下落が大きい場合、

年金額をカットできるようにしました。

 

そして、2022年の受給額は初めて「マイナス0.1」となり、

年金が減額されたということになります。

 

まとめ

物価が上がっているのに、

年金がカットされている原因を説明しました。

 

2016年に成立した「年金カット法」が原因ですが、

背景には「マクロ経済スライド」という仕組みを使って、

年金負担抑制をしたい行政の意図があります。

 

この年金カット法により、働き手の賃金が上がらなければ

物価上昇しても年金が減額できるようになってしまいました。

 

年金は非常に複雑でわかりづらいです。裏を返せば、

複雑であれば相手からの批判も起きにくいのです。

 

なので、年金の歴史、制度について、

分かりやすく紹介されている本を紹介します。