30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

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【いのちの電話相談】研修だけでボランティアが相談員になるのは無理がある

はじめに

テレビで有名人の訃報があった時に、

生きるのがつらくなった時の相談窓口として

「いのちの電話相談」をよく見かけます。

 

実は、ここの相談員はプロではなく、

ボランティアが行っていることはご存じでしょうか。

 

社会福祉士の私において、命に関わる相談を

ボランティアが行うのは、かなりハードルが高いものだと思います。

 

今回は「いのちの電話相談」について取り上げていきます。

 

いのちの電話とは

いのちの電話(厚生省ホームページより)


いのちの電話というのは、1953年イギリスで

「サマリタンズ」という慈善団体が自殺予防のために、

電話相談を始めたのが起源にあります。

 

キリスト教にルーツを持つ「いのちの電話」ですが、次第に

その活動が世界各地に広がっていきました。

 

そして、1971年、東京でも「いのちの電話」がスタートし、

1973年には社会福祉法人として認可されます。

 

2020年現在、全国各地に50センターがあり、

約6,000名の相談員が活動しています。

 

ボランティア相談員について

どんな人が相談員になれるのでしょうか。

 

2022年の募集要項をみてみました。

相談員募集 | 東京いのちの電話 (indt.jp)

 

条件としては、

①22歳~65歳の人

②心身ともに健康な方

③いのちの電話の相談員としての意欲がある方

この3つになっています。

 

希望者は、書類審査、面接を受ける必要があります。

選考通過後、約1年かけて講習(有料)受けたのち、

実際に活動に参加することになります。

 

活動内容は傾聴することがメインのようですが、

電話だけでなく、メールでの相談も行っているようです。

 

24時間年中無休、深夜対応もありますが、

ボランティア活動なので、相談員に報酬は支払われません。

 

研修だけで相談員になれるわけがない

基本、いのちの電話の相談員は相談業務の経験がなくても

応募できる内容になっています。

 

その代わりに、約1年半をかけて研修や合宿、グループ学習会などを行い、

相談スキルを取得するプログラムになっています。

 

しかし、1年半の研修プログラムだけでは、相談員として実践スキルを

身に着けるのは難しいです。

 

社会福祉士である自分だって、2年かけて社会福祉士を取ったのに、

約10年以上も相談職に就くことができないんですからね・・・

 

1年半で相談員になれたら、こんな苦労はしないです。

 

もともと相談スキルが高い人は別として、多くの場合、医療・福祉分野の

相談員になるには、社会福祉士や臨床心理士などの資格と合わせて

相談実務の経験を積む必要があります。

 

ちなみに、厚生省の自殺対策の相談窓口として紹介している

「ライフリンク(契約社員)」の募集事項では、社会福祉士などの資格を持った、

相談業務の経験がある人が条件にあげられています。

 

ボランティアが相談をする問題点

ネットで調べてみると、「いのちの電話」における

相談員の対応で問題がみられます。

 

例えば、何を相談したら分からず戸惑っている人に対して

相談員から「何もなければ切らせてもらっていいでしょうか」

というケースや、相談員から叱られるケースもみられました。

 

相談者は命を絶つ可能性があるため、

相談員の対応によっては、最悪のケースになる可能性があります。

 

つまり、「人を助けたい」というボランティア精神がかえって、

相談者を追い込んでしまうリスクもあるんです。

 

そのためにも、ボランティアが相談員になることに

ついては、運営側はもっと慎重に考えるべきだと思います。

 

最後に

毎年2万以上の自殺者がいる日本において、「いのちの電話相談」は

非常に意義のある活動です。

 

しかし、電話相談は非常に難しいことです。

約1年半の研修等で習得できるものではありません。

 

なので、「いのちの電話」の運営側、テレビで宣伝する人たちに、

この認識はあるかどうか疑問に感じます。

 

また、ハードな活動に対して報酬が支払われず、

ボランティアに研修費を負担させるのも、いかがなものかと思います。

 

正直、ボランティアの労力とお金が「ボランティア精神」という名のもとに

搾取されている印象さえ感じます。

 

人の命を扱う活動だからこそ、ボランティアの質、サポート体制を改善するためにも、

運営側、そして政府側も支援するべきです。

 

ちなみに、「いのちの電話」以外にも、電話相談窓口があります。

参考先:電話相談|自殺対策|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

・#いのちSOS

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