30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

ブログタイトル

ソーシャルワークとは何か。西武・そごうのCMからわかりやすく考えてみた。

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ソーシャルワークって、教科書を読んでも

説明が難しくて嫌になったりしませんか。

 

そんな方向けに、簡単に「ソーシャルワーク」とは何か

考えてみました。

 

ソーシャルワークを感じるCM

 

2020年に小柄な幕内力士である「炎鵬」が出演した

西武・そごうのCMがあります。

 

秀逸なキャッチコピーが「ソーシャルワーク」

の雰囲気を表現しています。

 

 

実際に見てどうだったでしょうか。 

 

「小柄な力士は大きい力士に勝てるわけない」という

ネガティブな状況から、『さ、ひっくり返そう。』での

逆転劇はスゴかったですね。

 

ソーシャルワークのグローバル定義には

「エンパワーメントと解放」という部分がありますが、

『さ、ひっくり返そう。』からの展開がソレにあたります!

 

つまり、ソーシャルワークとは

絶体絶命の不利な状況からの大逆転を信じて

さ、ひっくり返そう。」とすることです。

 

言い換えれば、社会的に不利な人、

弱っている人、困っている人に力を与えてあげること

とも言えるでしょう。

 

建前を掲げて実践する 

では、追い込まれた状態から大逆転には、

どうしたらいいのでしょうか。

 

ソーシャルワークでは、

「社会正義」を掲げて行動をします。

 

社会正義とは、例えば・・・

「命は大切に」「お年寄りは尊重するべき」

「障害者も共存できる社会を」「女性の社会進出を認めよう」 など、

人としての大切な公平さ、正しさをいいます。

 

しかし、社会正義を掲げても

「そんなのは実現するわけない」と

人から揶揄されやすいものです。

 

さっきのCMの前半でも

「小さな力士では大きな相手には敵わない」

というのも、同じことが言えます。

 

所詮、

社会正義は「きれいごと」であり、「建前」なんです。

 

どんな良い理想を掲げても、人が抱える

ズルさ、意地悪、損得勘定、怠惰、嫉妬などが

社会正義に立ちはだかります。

 

それでも、ソーシャルワークは「社会正義」という建前を信じ、

実践をしたからこそ、発展してきました。

 

ソーシャルワークは社会正義を語り実践するから、

その理想へはじめて踏み出すことができる。

 

思い描く理想、つまり「大逆転」が起きるわけです。

 

相撲もソーシャルワークと似ている!?

 

CMつながりで、ソーシャルワークの視点で、

相撲について少し触れておきたいと思います。

 

相撲って日本の「国技」と言われていますが、

元々はそうではありませんでした。

 

ずっと「相撲は国技だ」と主張していて、

だんだん人々に浸透して、

「国技」と認識されるようになったようです。

 

「国技」という建前を口に出すことで、

理想を実現したところは、ソーシャルワークと

似ているといえるでしょう。 

偶然出くわした夕日の光景から日本画家・横山大観の技法を体感した話

今回は仕事で偶然出くわした景色に

「芸術」を感じた話について話していきます。

 

わたしは高齢者デイサービスで働いており、

帰りの送迎時、車を走らせていく中、

濃い霧に夕日が差込む風景を見ました。

 

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濃い霧によって、輪郭がぼやけた夕焼けは

まるで横山大観の水墨画に入り込んだみたいでした。

 

横山大観とは

横山大観とは1868年に生まれた日本画家です。

 

西洋画の画法を日本画に取り入れた画家であり、

輪郭を明確に描かない手法「朦朧体」(もうろうたい)

で知られています。

 

 

島根にある足立美術館で、

横山大観の作品をみたことがありますが、 

輪郭がない技法により、霧や雲などの表現が

非常にリアルでした。

 

大観の技法「朦朧体」から感じたこと

 

わたしがたまたま出会った夕日の光景が、

以前見た横山大観の絵と重なりました。

 

広がる霧によって、木や建物の輪郭があいまいになり

融合する様は、強く心が揺さぶられました。

 

その光景から「自由」というか、 

ありのままに受け入れる「受容」のような

開放感を感じたんですね。

 

一方、私たちの社会は「白と黒」で区別され、

曖昧なものを排除してすっきりさせる方へ突き進んでいます。

 

現在の日韓関係やヘイトスピーチでも、

正義と悪の境界線を引くことで、

自分たちの「正義」を主張するために、悪を叩き

排除しようとする人たちが目立っています。

 

やっぱり、境界線を引いた方が物事がはっきりするから、

考える必要がなくて、楽なんですよね。

 

しかし、偶然出くわした夕日の景色から、

「境界線はない」という大切さに気付くことができました。

 

 

さいごに

 

そういえば、横山大観が「朦朧体」という技法を用いた時は、

輪郭を持つ絵が主流だったので、

当時、大観は多くのバッシングを受けていたようです。

 

輪郭を持たない絵は、ぼやけて分かりにくいですし、

当時の人々にとっては気持ち悪く感じたのでしょうね。

 

でも、その大観を批判した状況は

今の社会とリンクするような感じがあります。

 

その曖昧さを受け入れられる寛容さが

求められている気がします。

 

ソーシャルワーク援助技術で、一番大切なのは「笑い」かもしれない

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いろんなソーシャルワークがあるけれど・・・

 

社会福祉士を取ってから、数年経ちました。

 

学校ではエンパワーメントやストレングスなど

沢山の理論やアプローチについて講義を受けましたが、

今になって思うのが「笑い」の重要性です。

 

実は「笑い」自体がソーシャルワークの援助技術であり、

社会福祉士はもっと活用するべきではないのかなと思います。

 

なので、今回は「笑い」について

ソーシャルワークの視点で考えてみます。

 

「笑い」はソーシャルワークに大きく関わる

 

例えば、あくびをしている人を見ていると思わず、

したくないのに自分もあくびをする時があります。

 

あくびが他人に伝染すると同じように、

笑いも伝染する効果があるんです。

 

「笑い」から他者へ伝染し、働きかけること自体が、

ソーシャルワークであり、社会福祉士は「笑い」に

対してもっと関心を持った方が良い気がします。

 

ちなみに、最近の研究では、笑うことにより、

脳内物質「エンドルフィン」が引き出されるとされています。

 

「エンドルフィン」は幸せをもたらす働きがあり、

伝染の要因にもなっている脳内ホルモンです。

 

つまり、笑いというのは、他者に感染し、

幸せをもたらす脳内ホルモンを分泌させる効果があります。

 

だからこそ、ソーシャルワーク援助では、

「笑い」を活用することがとても重要です。

 

笑いを活用するスゴイ人たち

 

福祉の現場では笑いを取り入れ、

工夫している人は沢山いると思いますが、

その中で、注目するべき人を紹介します。

 

婆ちゃんコント

 

最初に紹介するのは、

石川県にあるボランティア劇団が行っている

「婆ちゃんコント」です。

 

元々は踊りと歌だけを披露していましたが、

「お年寄りを笑わせたい」という理由から、

婆ちゃんコントは始まりました。

 

座長とその相方が身近な事をネタに漫才して、

今では年間200公演も行うほどの人気があります。

 

何よりも観客であるお年寄りの元気さに驚きます。

 

腰が曲がった杖歩行のお婆さんも、

コントのために頑張って会場に向かうほどです。

 

コントがあることで、それを楽しみにしている

多くの人にエンパワーメントを与えている素晴らしい

活動だと思います。

 

お笑いコンビ・レギュラー

 

 

 

「あるある探検隊」というネタで

一躍ブレイクしたお笑いコンビ・レギュラー。

 

そんな彼らがレクレーション介護士の資格を取り、

介護と笑いを組み合わせた新たな挑戦を行っています。

 

youtubeで彼らが考案した

レクレーションを見ましたが、実用性が高く

非常に参考になりましたよ。

 

実践の中で、彼らが大事にしているのは、

「失敗しても大丈夫な雰囲気を作る」を作る事だそうです。

 

失敗を笑いに変えることで、多くの人に笑ってもらいたい。

 

この視点は、社会福祉士において大切かと思います。

コミュニケーションを求める職場って、スタッフを疲弊させているじゃないのかなぁ

私は以前、老人ホームで働いたことがあります。

 

その時、女性パートさんがこんなことを言いました。

 

「老人ホームは体力的にキツイけど、

お話ができない利用者が多いから、私にとっては楽」であると・・・

 

私が昔働いていた老人ホームは、

寝たきり状態、重度の認知症を患う人がほとんどでした。

 

パートさんが言うように、寝たきりや、認知症の方は

入浴、食事、排せつの介助が多く、身体的なストレスが大きいです。

 

もちろん、利用者のほとんどは発語や脳の機能に問題があり、

黙った利用者で溢れて、話す必要がない環境でした。

 

そんな環境がパートさんにとって、働きやすかったようです。 

 

デイサービスについて

 

そして現在、老人ホームを辞めて、

デイサービスで働いています。

 

デイサービスは在宅支援が目的なので、

頭がしっかりとした、元気な高齢者が多いです。

 

だから、毎日、利用者を退屈させないように、

お話しないといけない場面が多々あります。

 

でも、自分は「話をしたくない」のに、強制的に話さないといけない職場って、

かなりしんどいんです。

 

だから、洗濯物や皿洗いなどの雑用を見つけて

なるべくコミュニケーションを避けようと

防衛機能が働いてしまいます。

 

「話したくない」自分に嘘をつく

 

雑用を見つけて、会話から逃げるスタッフもいれば、

無理やり発語して頑張るスタッフもいます。

 

でも、「話をしたくない」気持ちを抑圧して出た言葉は、

妙に大きく、明るい声で違和感を感じます。

 

何よりも、無理やり出した声から

「わたしは話したくないけど、仕方なくやっています」

いう暗黙のメッセージを含んでいるように思えます。

 

実は「話をしたくない」のに、無理に話す行為は、

相手に違和感を与える失礼な行為なんです・・

 

でも、しっかりとしたお年寄りは

その違和感を教えてくれません。

 

だって、その違和感を指摘すると嫌われて、

介護をしてくれなくなると困るからです。

 

また「話をしたくない自分」に嘘をつくことで、

自分自身も精神的ストレスにやられてしまいます。

 

このまま自分に嘘をつき頑張っていたら、

吃音やうつなどの病気が現れるかもしれません。

 

したくない自分に気づく

 

仕事で、苦手なコミュニケーションを克服する場合、

研修やセミナーに参加したり、本を読んだりして

スキルアップを図ると思います。

 

でも、どんなテクニックや方法を学んでも

「話したくない自分」をごまかすことはできません。

 

声の響きや身体から、苦手な気持ちが表出してしまいます。

 

結局、コミュニケーションを良くする初期段階は、

「話をしたくない自分」に気づくことから

始めることだと思います。

 

いわゆる「自己覚知」です。

 

この気づきによって「したくないことを一生懸命頑張っている自分」を

止めることができます。

 

でも、周りはコミュニケーションを求めている

 

「話をしたくないことに気づく」ためには

職場の上司やスタッフの協力が不可欠です。

 

本来、話をしたくないスタッフを見つけたら、

「無理して話をしなくていいよ」と言えるほどの

寛容な態度が必要かもしれません。

 

しかし、わたし達は、話をしたくないスタッフに対して、

イライラを感じてしまいます。

 

だから、一生懸命話すように促し、

無理して頑張ることを望んでしまうのです。

 

それが、スタッフを精神的に追い詰めて、疲弊させているんですね・・・

 

結局、周りがコミュニケーションを求めている限り、

コミュニケーションが苦手な方はずっとつらい思いをしてしまいます。

 

だから、「したくない自分」に気づくために、

まず、周りが過剰にコミュニケーションを求めるのを

やめた方がいいのではないでしょうか。

【初心者向け】バイスティックの7原則の「意図された感情表出」について説明してみた

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社会福祉士の試験だけでなく、

介護職全般で学ばれる「バイスティックの法則」

 

前回は個別化を取り上げました。

 

www.social-walfare.work

 

その中でも「意図された感情表出」

ケースワークの基盤できわめて重要です。

 

また、バイスティック7原則の

受容、自己決定、統制された情緒的関与にも

強く関係しています。

 

なので、今回は「意図された感情表出」について

取り上げてみました。

 

意図された感情表出とは

 

「意図された感情表出」とは

クライエントの感情表出の場を保証することです。

 

まず、大切なのは「感情表出」というワードであり、

意味をよく理解しないといけません。

 

では、そもそも「感情」って何でしょうか?  

 

例えば、「喜ぶ」というのは、ゲームで強敵と戦い、

なんとか勝利した時、ふと「やったー」と声を上げたり、

ガッツポーズをしたりするような心の高ぶりを指すのでは

ないでしょうか。

 

その時、決して「自分は喜んでいる」と自覚していません。

 

やがて高ぶった気持ちが収まって、ふと我に返った時、

「喜び」と名付けて、その感情を客観的に意識しているはずです。

 

一般的に感情は「喜・怒・哀・楽」と区別されていますが、

それらは、心の高ぶりが抜けた死骸であり、本質的には違います。

 

本当の感情とは、

真剣に全身で現実と向き合って起こる反応です。

 

そして、感情表出とは、現実に対して全身で闘う中で

溜まった感情のマグマを噴き出すことです。

 

感情が表出すると相手はスッキリするような

デトックス効果があります。

 

それだけでなく、ワーカーにとって、無意識に表出された感情は

相手の抱える現実を知る手掛かりになるんです。

 

特に、怒りや悲しみという感情には、

「本当にしたい事、叶えてほしい事」が隠されています。

 

そのニーズを読み取り、支援に結びつけるのが、

ケースワークであるなら、感情表出の場を保証するのも

支援者にとって大切な役割と言えるでしょう。

 

どうやって「感情表出の場」を支えるのか

 

意図された感情表出のためには、

相手に対して「何もしていい」という

ワーカーの寛容さが必要です。

 

しかし、相手に「何もしていい」ということは、

突然、ワーカーを傷つける言動もあり得ます。

 

その時に、感情的にならずに、

あるがままを受け止める「受容の原則」

必要です。

 

また表出された感情は

ワーカーの感情を刺激し、呑み込まれやすいため

冷静な対応を取れないこともあります。

 

だから、ワーカーには統制された情緒的関与

が求められるのですね。

 

そして、相手が無意識に表出された感情から、

自分が何かしたいのか、冷静に受け止めができた時、

本当の気持ちを表現できるようになります。

 

表現するというのは、自分の意志を伝える事であり、

自己決定の原則に重要な要素です。

 

つまり、「意図された感情表出」を支える要素として、

受容、自己決定、統制された情緒的関与があると

いうことです。

 

決してバイスティックの原則はバラバラの理論ではなく、

意図された感情表出を基盤にして、他の原則をつないでいます。

成年後見制度とは何か、その背景と課題について簡単にまとめてみた

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認知症患者が持っている金融財産はどれくらいか

みなさんご存知でしょうか?

 

第一生命経済研究所の試算では、

2017年末で143兆円に上り、

2030年度時点では215兆円に達するとのこと・・・

 

国内にある家計金融資産の1割近くを、

認知症患者が所有する状況になりつつあります。

 

そして、厚労省のデータによると、

2012年時点の認知症患者数は約462万人

軽度の認知症(MCI)約400万人を含めると

約900万人に上る勢いです。

 

今後も高齢化が進み、認知機能低下によって

財産管理ができない人が増加が予想されます。

 

そうなれば、オレオレ詐欺、マルチ商法などの犯罪に

簡単に巻き込まれ、財産を失う危険も増えるでしょう。

 

そうした認知症高齢者などの金融資産を守るために、

成年後見制度という制度があります。

 

今回は「成年後見制度」について、

その背景と課題についてまとめてみました。

 

きっかけは2000年の介護保険制度

 

成年後見制度が誕生したのは、

2000年の介護保険制度がスタートしたときです。

 

この介護保険制度によって、

介護サービスにおいて、措置制度から契約制度へ変わりました。

 

措置と契約とは何でしょうか。

 

措置制度だった時代は、行政が利用者の希望しているサービスの利用可否や、

その人が実際に利用すべきサービスを決定していました。

 

その負担もすべて税金で賄っています。

 

しかし、高齢化率の上昇により、措置制度では財源確保が難しくなり、

40歳以上の人から保険料を徴収して運用する介護保険制度に切り替わります。

 

そして、今まで行政によって自由にサービスを選べなかった

措置制度とは異なり、介護保険制度では利用する介護サービスを

利用者本人から決める契約制度に変わりました。

 

しかし、判断能力が不十分な認知症の人にとって、

自分の意志で介護サービスを決めることは非常に困難です。

 

そんな認知症高齢者の契約をサポートするために

介護保険制度と同年、2000年に成年後見制度が設けられました。

 

成年後見制度とは、その課題について

 

成年後見制度とは、認知症など判断能力の不十分がゆえ、

不利益が生じている人に対して支援者を付けてもらう制度です。

 

その支援者を「成年後見人」と呼び、活用するには

家庭裁判所に申立てが必要になります。

 

もともと認知症高齢者のためにできた制度ですが、

知的障害・精神障害など幅広い人たちが利用しています。

 

しかし、問題点が2つあるんです。

 

1つ目は圧倒的に成年後見を利用している人が少ないこと

 

最新の裁判所データ(平成30年版)だと、

成年後見の立件件数は約35000件しかありません。

 

需要は確実に増えているにも関わらず、

十分利用されていない現状があるんです。

 

なので、2016年に成年後見制度利用促進法が成立し、

現在は厚生省が中心に普及を進めています。

 

しかし、成年後見は使いづらく、費用も掛かるため

なかなか上手くいかないようです。

 

2つ目は、介護保険の契約のために成年後見制度は

ほとんど活用されていないことです。

 

もともと成年後見制度のルーツは認知症高齢者の

介護保険契約を援助するために設けられたもの。

 

しかし、成年後見の大半は預貯金等の管理・解約などの

財産を守るために使われており、本人の意思決定を支援する

活用は少ない状態にあります。

 

まとめ

 

認知症患者が持っている金融財産は143兆円

 

そして、認知症患者数は400万人を超え、軽度の認知症を含めると

900万人を超える勢いです。

 

高齢化に向かう日本で、

判断能力が不十分な認知症の人が金融財産を守る制度として

成年後見制度があります。

 

誕生のきっかけは2000年の介護保険制度で、

利用者本人がサービスを決める契約制度へ切り替わったためです。

 

成年後見制度とは、認知症など判断能力の不十分がゆえ、

不利益が生じている人に対して支援者を付けてもらう制度ですが・・・

 

現在、利用者は少なく、特に介護保険の契約のために成年後見制度は

ほとんど活用されていません。

 

今後、成年後見における意思決定支援を

どう拡大していくのかが大切なポイントだと思われます。

 

 

法務省はヘイトスピーチを解消するよりも、不法滞在者への対応を改めるべきじゃないの

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最近、公民館に行くと法務省の

ヘイトスピーチに関しての黄色いポスターを見かけます。

 

第31回社会福祉士試験でもヘイトスピーチ解消法

が出題されたので、ご存知の方も多いかもしれません。

 

外国人に向けたヘイトスピーチはとても品がなく、

残念に感じてしまいます。

 

しかし、法務省は不法滞在中の外国人に対して

ヘイトスピーチよりもひどい扱いを受けている

現状をご存知でしょうか。

 

今回はヘイトスピーチと不法滞在の外国人について

考えていこうと思います。

 

ヘイトスピーチとは

 

ヘイトスピーチとは「憎悪表現」と呼ばれ、

人種などの違いで暴力や差別を煽る行為とされています。

 

ほとんどの先進国では刑事罰になっているヘイトスピーチですが、

日本では刑事罰になる法律はありません。

 

社会福祉士の試験で出題された「ヘイトスピーチ解消法」も

刑事罰にはならず、他の国に比べると対応が遅いといえます。

 

ヘイトスピーチを罰則にできない理由

 

なぜ日本はヘイトスピーチを刑事罰にしないのでしょうか。

 

それは「表現の自由」だから、できないようです。

 

でも、他人の尊厳を傷つけるヘイトスピーチを

表現の自由と言ってしまうのも、おかしい話ですけどね・・・

 

あと、この法律は日本に不法滞在する外国人などは

対象外なので、極論、犯罪者に対してのヘイトスピーチは

行っても問われないと解釈できます。

 

そして、2016年にヘイトスピーチ解消法は施行され、

法務省が中心となって啓発に取り組んでいます。

 

しかし、法務省もヘイトスピーチ以上に

外国人にひどいことをしているんです。

 

ヘイトよりひどい入国管理センター 

 

みなさんは入国管理センターというのはご存知でしょうか。

 

入国管理センターは不法滞在中の外国人を

一時的に収容する施設で、法務省が管轄し、全国に3か所存在します。

 

実際、ここで収容されている外国人が

長期にわたり職員に暴言や暴力を受けているんです。

 

また、外の景色が見えず、病気が悪化しても

十分な医療を受けることもできません。

 

しかも、法務省は収容の期間を自由に延長できてしまいます。

 

そんな地獄のような環境で、自殺を試みる人たち多くいるんですね。

 

だから、

法務省はヘイトスピーチを解消するよりも、

不法滞在者への対応を改めるべきじゃないの。

と思ってしまいます。

 

実際の現場状況はこの記事で確認できますので、

興味がある方はぜひ読んでみてください。

news.yahoo.co.jp

 

ソーシャルワークが難しくてお困りの方に読んでほしい一冊の本

ソーシャルワークを学ぶときにどんな本を読んだらいいだろうか。

 

わたしが社会福祉士を学んでいた時、

すごく悩んだテーマでした。

 

とりあえず、ソーシャルワーク入門書や専門書を読みましたが、

説明が難しくて読めない!

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もっと、スラスラ読める本があればいいのになあと

思っていました・・・ 

 

みなさんもそんな風に思ったことはありませんか。

 

そんな方にお勧めしたいのが、スイミーです。

 

小学校の教科書で学んだ方も多いのではないでしょうか。

 

これは絵本なので文章も短くて、すぐに読めますが、

深く読むと、ソーシャルワークを知る最高の教材ですので、

紹介してみました。

 

スイミーとは 

 

 

スイミーは作家レオ・レオニの絵本です。

 

話の流れは以下の通り。

 

・広い海に小さな魚の兄弟の群れがおり、みんな赤いのに、一匹だけ黒いスイミーという魚がいた。

・ある日、大きいマグロがその魚たちを襲い、泳ぎの速いスイミーだけ逃げ切る。

・スイミーは海をひとりで泳ぎ続け、小さな赤い魚の群れを見つける。

・スイミーたちは一緒に大きなマグロを追い出す方法を考え、スイミーがみんなで大きい魚に見えるように一緒に集まって泳ぐことを思いつく。

・小さな赤い魚たちが大きな魚の形に泳げるようになったとき、スイミーが「ぼくが目になろう」と言う。

・スイミーたちは協力して、きょうだいを襲った大きいマグロを追い出す。

 

小学校ではこの話を通して、協調性の大切さ

教えるのが定番かと思います。

 

しかし、物語を深く読むと、

ソーシャルワークを知る上で大切な要素が見えてくるので、

紹介していきます。

 

スイミーがソーシャルワークの視点を身につけた場面

 

この絵本では、マグロから逃げたスイミーが

一人で広い海をさまよい、クラゲやエビ、海藻などに

出会うシーンに多くのページを使っています。

 

そして、スイミーは自分と違う生き物を発見し、

そこに面白さを感じ、元気を取り戻します。

 

つまり、違う種との出会いによって、

スイミーは広い海にいる生物の多様性に気づきました。

 

これこそ、スイミーが

ソーシャルワークの視点を手に入れた瞬間なんです。

 

ソーシャルワークの視点とは簡単に言うと

「木を見て森を見ず」という視点ではなく、

もっと広い視点に立ち、関係性で物事を見ることです。

 

この視点で物事を捉えると、自分が見ている世界が

驚くほどに変化し、そこから新たな発見や気づきを獲得できます。

 

作者はスイミーが海をさまようシーンで

ソーシャルワークの視点の大切さ・面白さを

感覚的に伝えたかったのかもしれません。

 

「ぼくが目になろう」が最大のポイント

 

もっともポイントになるのは、クライマックスで

スイミーが言った「ぼくが目になろう」です。

 

スイミーは他の仲間と違う色だけど、それを受け入れ

自分にしかできない役割を果たして共に戦おうとしています。

 

ソーシャルワーカーも悩みを抱える人に対して、

その悩みを「自分の悩み」として共有し、専門性を発揮して

一緒に問題を解決していきます。

 

そして、ソーシャルワーカーの強みであるネットワークが、

さまざまな人たちを結び付けて、

マグロを追い払うほどの大きな魚の群れのような

強大な力を作り出すんです。

 

さいごに

 

今回はソーシャルワークの入門書して、

スイミーを紹介してみました。

 

スイミーを読むと、ソーシャルワークの核である「関係性」に

ついて、色々気づけるのでオススメです。

 

ソーシャルワークが難しくてお困りの方は

ぜひ読んでみて下さい。

社会福祉士養成学校では教えてくれない、現場で役立つ2つの視点

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 「社会福祉士をとったけど、学んだことが活用できない」

「これから社会福祉士を目指すけど、どんなことを学べばいいのだろう」

 

社会福祉士養成学校ではなかなか

現場に使えるスキルを教えてくれる機会はありません。

 

だから、実際に現場で働いた時、学んだことが

活用できないことに驚くこともあります。

 

今回は、社会福祉士養成学校では教えてくれない、

現場で役立つ2つの視点を紹介してみました。 

 

関係性を見る

 

ソーシャルワークの視点は部分だけでなく、

全体をみることが大切です。 

 

「木をみて森を見ず」のような状態ではいけません。

 

物事を俯瞰してみることがポイントです。

 

例えば、自分の会話を録音して聞いてみると

すぐに理解できます。

 

まず、思っている自分の声と実際に録音した声とは

全然違うように聞こえるはずです。

 

あと、考えている時「えっと」など言うなど、

自分の話すときのクセが嫌になるほど見えてきます。

 

また、他人を俯瞰してみると、周りにある関係性から

その人の感情を想像することも可能です。

 

この視点が身に付くとクライエントだけでなく、職場のスタッフとも

良好な関係が作れますので、是非、意識してみて下さい。 

 

『できる人は必ず持っている一流の気くばり力』では

俯瞰してみる大切さを分かりやすく説明してあるので、

興味のある方は、読んでみて下さい。 

物事の裏を考えてみる

 

社会福祉士の養成学校で国家試験に合格するのは

みなさん共通の目標だと思います。

 

だから、懸命に勉強した分、

合格できたら、嬉しく感じるものです。

 

しかし、合格で喜んでいる人がいる一方、

一生懸命頑張ったのに、

不合格で泣いている人も必ずいます。

 

まして、社会福祉士試験の合格率は半分以下だから、

悔しい思いをする方が多いでしょう。

 

そのような物事の「光と影」に注目するのは、

ソーシャルワークにおいて、とても大事です。

 

例えば、以前の記事で取り上げた

剣道の試合における「勝者のガッツポーズ禁止」は、

敗者への気持ちを考えた所作だと言えます。 

www.social-walfare.work

 

ただし、多くの人は「光」の部分しか見えないから、

灯台下暗しというように、物事の裏に気づかないんです。

 

実際の現場では、その影がソーシャルワークの対象と

なることもよくありますので、日頃から

物事の裏を意識した方がいいでしょう。

 

ポイントは現場に行き、いろんな人と会うこと。

 

これは理屈ではなく、「人はそれぞれ違う」という

実体験を重ねないと、「影」の部分はなかなか見えてきません。

 

また、スマホやインターネット通したオンラインな関係よりも、

近所付き合い、趣味サークル、ボランティアなど

直接に人と会う機会を増やした方がベターです。

 

まとめ

 

・関係性でみる

・物事の裏に注目する

以上の視点がソーシャルワークの現場ではとても大事です。

 

しかし、学校ではこの事を教えてくれませんので、

早い段階で意識したほうが、実習や現場でとても役に立ちます。

 

ファーストアクションとして

いろんな人に会ってみることが最善策です。

 

試験勉強も大切ですが、外に出て交流を広げることも

長い目でみれば、自分の成長につながります。

 

そんな風に考えてくれる社会福祉士が増えるといいなぁ~ 

傾聴に言葉はいらない、非言語コミュニケーションの大切さ

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社会福祉士だけでなく、

介護・看護など全般に必要とされる「傾聴」

 

「相手の話を聞いて関係性を良くする」イメージが

一般的かもしれません。

 

しかし、私の場合、傾聴に言葉は必要ないと思っており、

言葉の無いコミュニケーションの方が重要だと思っています。

 

今回は、傾聴と非言語コミュニケーションについて

考えてみました。

 

傾聴とは何か

傾聴の「聴」には、相手の気持ちに寄り添って聴く

という意味があります。

 

つまり、ただ漠然と話を聞くのではなく、

相手の気持ちに焦点をあてて話を聴くことが基本です。

 

しかし、傾聴と聞くと

言葉の内容から、相手の気持ちを理解しようとしていませんか。

 

傾聴をする上で、もっとも注意することは、

相手の言葉にとらわれ過ぎないことです。

 

ある研究では、言葉で相手のメッセージを

読み取れる割合はせいぜい7%ほど

 

あとは、声のトーン・速さが38%

目から入る相手の表情や態度が55%となっており、

耳よりも、目からの方が相手の情報を受け取りやすいのです。

 

傾聴において、言葉の意味に集中するよりも、

声のトーン・速さに耳を傾け、

目を使って相手の表情・しぐさをみる方がとても大切になります。

 

言葉がない会話の動画もありますので、ぜひご覧下さい。

非言語でも十分に内容を理解できるかと思います。

傾聴に言葉はいらない

 

あるドキュメンタリー番組で

青森の農業高校にいる女子生徒が

動物の飼育をする上で、こう述べていました。

 

「動物は言葉を持っていないので、顔をみたり、しぐさを見たり、

『今日ご飯食べてない』とか、『今日下痢だね』とか小さなことから、

深く考えないといけない」

 

つまり、言葉ではなく、日頃の表情・しぐさなど

非言語によるメッセージを読み取る重要性を話しています。

 

その訓練を積むことで、顔をみただけで

動物の気持ちを理解できるようになり、

適切なケアを行うようになっていくんです。

 

それは、人の介護でも同じことが言えます。

 

今、認知症介護として注目を浴びている「ユマニチュード」は

相手の目線を見て、気持ちを感じる

非言語コミュニケーションを基盤としています。

 

また、これは認知症の方に限ったことではないんです。

 

ほとんどのお年寄りは介護している人に「嫌われたくない」

と思っているため、本当の気持ちを言ってきません。 

 

だから、介護職員は相手の目を見たり、日頃の様子など

小さいところをよく観察して深く考えなければいけないんです。

 

気持ちが分かったら、それに合った対応をすればいい

 

相手の気持ちに焦点を合わせていくと、

少しづつ相手の本音に気づけるようになっていきます。

 

そしたら、それに合った声掛けを積極的にしてみましょう。

 

例えば、利用者から「眠たい」を感じたら、

「ベッドで休みませんか」とか。

 

「のどが渇いた」という気持ちを感じたら、

「何か飲みませんか」とか声に出した方がいいです。

 

しっかり傾聴できていれば、即答でお願いしますと

言ってくれますし、関係性も良くなります。

 

上手くいかなくても、間違えても構いません。

 

傾聴は、何度も訓練して磨いていくことが

なにより大切になります。

 

まとめ

 

今回は「傾聴」について考えてみました。

 

傾聴には言葉の内容を聞くのではなく、

日頃の表情・しぐさなど

非言語によるメッセージを読み取ることがポイントです。

 

ただし、これは

普段から相手の目線をみて会話をしたり、

日頃の動作に気を配ったりしないとできません。

 

そして、何回も訓練を続けると、相手の気持ちに

近づけるようになり、相手に適切なケアを提供することが

可能になります。

 

最初は訳が分からないと思いますが、

やっていくうちに、コツをつかめるようになりますので、

諦めないことが大切ですよ。