30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

ブログタイトル

【社会福祉士試験対策その5】ポストモダンの影響を受けたソーシャルワークについて

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第31回社会福祉士国家試験で

ポストモダンの影響を受けたソーシャルワークについて

出題されました。

 

この問題を見たとき「ポストモダン?何それ!」

と思った方もいたのではないでしょうか。

 

なので、今回は「ポストモダンとソーシャルワークの関係性」について

簡単にまとめてみます。

 

ポストモダンとは

 

ポストモダンの「モダン」は近代、

「ポスト」は後のこと、つまり近代の後という意味です。

 

そして、「ポストモダン」を流行語にしたのが、

フランスの哲学者ジャン・フランソワ・リオタールです。

 

彼は1984年に『ポストモダンの条件』を発表し、 

モダン(近代)を「大きな物語」と表現し、ポストモダンは

大きな物語の終焉によって出現したとされています。 

 

では、「大きな物語の終焉」とは何でしょうか。

 

近代より昔は封建制度のようなルールに縛られて、

人々は不自由だったし、労働も手作業でコスパが悪い時代でした。

 

だから、近代(モダン)では伝統的なルールをやめて人々が自由になり、

科学技術の進歩で生活が楽になれば、

誰もが幸せになれると思っていたんです。

 

つまり、近代(モダン)には「みんなが幸せになれる」大きな物語があり、

みんなが同じ方向に向かっていれば良いとされていました。

 

しかし、人々が伝統的なルールから解放され、

テクノロジーが発展すると、ホロコーストのような大虐殺、

破壊兵器の登場、環境破壊などの問題が出てきます。

 

その結果、「皆が幸せになる」という

人類に普遍的なものは幻想だと唱えるポストモダンが現れました。

 

これを「大きな物語の終焉」と呼び、

ポストモダンは「人はそれぞれ違う」という多様性を

尊重し、やがてソーシャルワークにも影響を与えることになります。

 

ポストモダンの影響を受けたソーシャルワークとは

 

ポストモダンの影響を受けた代表的なソーシャルワークとして

ナラティブアプローチが挙げられます。

 

ナラテイブは1990年ごろに出てきた思想・理論です。

 

この頃に出た思想・理論として他にも、

「エンパワメント」「ストレングス」が挙げられます。

 

どのアプローチも共通して、クライエントの短所に目を向けるのではなく、

クライエントの主体性・語りなどを基盤にしています。

 

ナラティブアプローチとは

 

ナラティブアプローチは

社会構成主義というポストモダンの影響を受けて生まれた

実践モデルです。

 

社会構成主義とは客観的・実証的な「現実」はなく、

現実というのは社会的に構成されたものと捉えます。 

 

例えば、普段何気なく外を歩いている風景

お腹がすいている・のどが渇いている状態

歩く風景は違うと思います。

 

空腹やノドの渇きを感じると、食べ物や水分を求めて

コンビニや自動販売機などが目に入り、

その周囲には意識をしなくなるはずです。

 

つまり、私たちの見ている現実は

ありのままに見ているのではなく、思い込みであるところ

が社会構成主義のポイントになります。

 

まとめ

 

ポストモダンとは「近代の後」いう意味です。

 

人類にとって普遍的な価値があったモダン(近代)を否定して、

出てきたのがポストモダンになります。

 

ポストモダンは多様性を尊重し、

ソーシャルワークにも大きな影響を与えました。

 

その代表がナラティブモデルであり、

ポストモダンの背景を基盤とした

社会構成主義が特徴になります。

 

ナラティブアプローチについては以下の記事で詳しく説明しています。

ご参考まで。

 

www.social-walfare.work

 

社会福祉士試験の社会学対策は『社会学用語図鑑』を読んで全体像をつかむと楽!

社会福祉士の試験では「社会学」が試験範囲に入っています。

 

この社会学はとても用語が難しく、

理解するのが大変な科目です。

 

しかし、社会学をわかりやすく紹介してくれる

『社会学用語図鑑』が発売されました!

 

実際に読んでみましたが、社会福祉士の試験にも

十分対応しており、入門書として最適です。

 

今回は『社会学用語図鑑』の良いポイントについて

紹介していきます。

 

社会学は全体像をつかむと楽

 

社会福祉士試験ではひたすら 過去問を解いて覚える方法が定番です。

 

過去問ひたすら勉強法は、

いわゆる短期集中の詰込みによる暗記・・・

 

確かに、

ひたすら暗記法は短期間で覚えるには有効だと思いますが、

社会学用語は覚えても、その知識は断片的でバラバラになりがちです。

 

しかし、社会学には一連の「流れ」があり

テストに出る社会学者や理論・概念も、

その時代における背景や文化などが大きく影響しています。

 

急がば回れです。

 

社会学では、その成り立ちを丁寧に読み、

全体像をつかむことができれば、理解がしやすくなる科目です。

 

まずはザックリでいいのでどんな感じで

社会学が発展してきたのか知ることがポイントになります。

 

社会学対策は『社会学用語図鑑』が分かりやすい

 

『社会学用語図鑑』は社会学を時系列に

とてもコンパクトにまとめてあり、

入門書としてかなり良いです。

 

あと、ポップなイラストで、

社会学者や理論を説明してあるので、

図鑑のように一気に読むことができます。

 

文章を読むのが苦手な方は

一度読んでみるといいですよ。

 

しかも、解説もとても詳しく書かれており、

深い内容を問われる社会福祉士試験でも

十分に通用します。

 

ちなみに、2019年の試験で出題された

デュルケムの「有機論」や「フリーライダー」

が本書に載っていました。

 

さいごに 

 

今回は社会福祉士試験における

「社会学」の対策についてお話しました。

 

「社会学」には流れがあり、

過去問を解く方法では知識が断片的になってしまいます。

 

だから、知識がバラバラにならないために、

理論や概念をただ暗記するだけでなく、

その時代背景や文化などを深く考える必要があります。

 

そういう意味で

紹介した『社会学用語図鑑』は教養としても

とても役に立つ本です。

 

また授業の復習や予習にも最適ですし、

イラストもあるので、

本が苦手な人でも最後まで読めると思います。

 

あと、社会学を深く学びたい方は『社会学史』も良いですよ。

 

『社会学用語図鑑』よりも少し難しいですが、

精神分析のフロイトも紹介されているので、

心理学分野の勉強もできます。

社会福祉士の給料が安い原因は何か、世界幸福度から考えてみた

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2019年社会福祉士の試験で、

国連の世界幸福度調査について取り上げられました。

 

実は、世界幸福度のデータから 

「なぜ社会福祉士の給料が安いのか」

分かります。

 

今回は社会福祉士の給料が安い原因を

世界幸福度から考えてみました。

 

世界幸福度から分かる事

 

国連が発表する「幸福度報告」においては、

GDPや健康寿命など6つのカテゴリに分けて報告しています。

 

ここで注目してほしいのが、「寛容さ」のカテゴリです。

 

世界幸福度の「寛容さ」 は、

過去1か月の間にチャリティ等に寄付したか

が調査の対象となっています。

 

日本は「寛容さ」の分野では、156カ国中92位と

先進国では最低の順位でした。

 

この寛容さの無さは、社会福祉士にとっては

かなり深刻な問題です。

 

民間組織やNPO法人などインフォーマルな

組織にとって、寄付は貴重な財源になります。

 

しかし、日本は寄付しない人が多数なので、

インフォーマルな組織では安定した収入を手に入れません。

 

そうなると、社会福祉士は福祉施設や病院、行政機関など、

給料が安定しているフォーマルな職場につきやすくなります。

 

社会福祉士の給料が安い原因とは 

 

本来、給料を上げるなら、提供しているサービス料金を

引き上げればいいんです。

 

一般的に民間企業などのインフォーマルな組織なら、

自由に価格を変えることができます。

 

しかし、病院や福祉施設など公的な機関では

「税金」が主な財源になるため、

料金を上げるとその分、国の負担も増えてしまいます。 

 

なので、国はその負担を調整するため、医療・介護サービス価格の

決定権を持っています。

 

いわゆる「医療・介護報酬」っていうやつです。

 

公的な機関への依存度が大きい社会福祉士にとって、

この価格変動はとても影響を受けてしまいます。

 

皆さんもご存知のように、

日本は約1000兆を超える借金を抱えており、

年金や介護・医療など「社会保障関係費」を

削減しようとしています。

 

だから、国の財政が厳しくなると、

サービス価格は上昇する見込みはなく、

給料も低いままなんです。

  

解決にはどうすればいいのか

 

社会福祉士は安い給料の上に、医療・介護制度ともに評価は低く、

地域包括支援センターでの配置義務があるぐらいです。

 

もっと、社会福祉士は

国へのソーシャルアクションを起こす必要があります。

 

では、具体的どうすればいいでしょうか。

 

一つのヒントとして、

「日本看護協会」を取り上げてみようと思います。

 

日本看護協会は

その名の通り、看護師による職能団体です。

 

実は昔、看護師も社会福祉士と同じ給料が低く、

社会的な立場もあまり良くありませんでした。

 

なので、1959年に日本看護協会は

「看護職の地位向上・環境改善に政治の力が必要」として、

看護連盟を創設し、ソーシャルアクションを起こしています。

 

その結果、看護師の給料を上げることができたのです。

 

また、現在、看護協会の会員数も約72万人と多く、

いまだに政治に強い影響力を保っています。

 

一方、社会福祉士には「日本社会福祉士会」という

全国規模の組織がありますが、会員数は約4万人程度

 

看護協会に比べ圧倒的に人数が少なく、

ソーシャルアクションができていないのが現状です。

 

だから、日本社会福祉士会の会員数を増やして、

組織の力を強くしていくことが第一歩になります。

 

まとめ

 

世界幸福度から、

どう社会福祉士の給料に影響を与えるのか考えてみました。

 

日本はチャリティに寄付をほとんどしないため、

病院や福祉施設などフォーマルな場所でないと

安定した給与がもらえない現実があります。

 

しかし、公的な機関の主な財源は税金であり、

国がその配分を決めており、医療・介護サービス価格の

決定権を握っています。

 

しかし、日本は1000兆円も超える借金を抱えているので、

価格上昇はできず、給料も安いままなんです。

 

そして、解決の糸口として、

日本社会福祉士会の会員数を増やして、政治への発言力を強める

ソーシャルアクションが大切になります。

 

現在、日本社会福祉士会の会員数は4万人と少ないです。

 

本気でこの現状を変えたいと考えている社会福祉士の方は

ぜひ入会を考えてみてはいかがでしょうか。

ソーシャルワークが難しくてお困りの方に読んでほしい一冊の本

ソーシャルワークを学ぶときにどんな本を読んだらいいだろうか。

 

わたしが社会福祉士を学んでいた時、

すごく悩んだテーマでした。

 

とりあえず、ソーシャルワーク入門書や専門書を読みましたが、

説明が難しくて読めない!

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もっと、スラスラ読める本があればいいのになあと

思っていました・・・ 

 

みなさんもそんな風に思ったことはありませんか。

 

そんな方にお勧めしたいのが、スイミーです。

 

小学校の教科書で学んだ方も多いのではないでしょうか。

 

これは絵本なので文章も短くて、すぐに読めますが、

深く読むと、ソーシャルワークを知る最高の教材ですので、

紹介してみました。

 

スイミーとは 

 

 

スイミーは作家レオ・レオニの絵本です。

 

話の流れは以下の通り。

 

・広い海に小さな魚の兄弟の群れがおり、みんな赤いのに、一匹だけ黒いスイミーという魚がいた。

・ある日、大きいマグロがその魚たちを襲い、泳ぎの速いスイミーだけ逃げ切る。

・スイミーは海をひとりで泳ぎ続け、小さな赤い魚の群れを見つける。

・スイミーたちは一緒に大きなマグロを追い出す方法を考え、スイミーがみんなで大きい魚に見えるように一緒に集まって泳ぐことを思いつく。

・小さな赤い魚たちが大きな魚の形に泳げるようになったとき、スイミーが「ぼくが目になろう」と言う。

・スイミーたちは協力して、きょうだいを襲った大きいマグロを追い出す。

 

小学校ではこの話を通して、協調性の大切さ

教えるのが定番かと思います。

 

しかし、物語を深く読むと、

ソーシャルワークを知る上で大切な要素が見えてくるので、

紹介していきます。

 

スイミーがソーシャルワークの視点を身につけた場面

 

この絵本では、マグロから逃げたスイミーが

一人で広い海をさまよい、クラゲやエビ、海藻などに

出会うシーンに多くのページを使っています。

 

そして、スイミーは自分と違う生き物を発見し、

そこに面白さを感じ、元気を取り戻します。

 

つまり、違う種との出会いによって、

スイミーは広い海にいる生物の多様性に気づきました。

 

これこそ、スイミーが

ソーシャルワークの視点を手に入れた瞬間なんです。

 

ソーシャルワークの視点とは簡単に言うと

「木を見て森を見ず」という視点ではなく、

もっと広い視点に立ち、関係性で物事を見ることです。

 

この視点で物事を捉えると、自分が見ている世界が

驚くほどに変化し、そこから新たな発見や気づきを獲得できます。

 

作者はスイミーが海をさまようシーンで

ソーシャルワークの視点の大切さ・面白さを

感覚的に伝えたかったのかもしれません。

 

「ぼくが目になろう」が最大のポイント

 

もっともポイントになるのは、クライマックスで

スイミーが言った「ぼくが目になろう」です。

 

スイミーは他の仲間と違う色だけど、それを受け入れ

自分にしかできない役割を果たして共に戦おうとしています。

 

ソーシャルワーカーも悩みを抱える人に対して、

その悩みを「自分の悩み」として共有し、専門性を発揮して

一緒に問題を解決していきます。

 

そして、ソーシャルワーカーの強みであるネットワークが、

さまざまな人たちを結び付けて、

マグロを追い払うほどの大きな魚の群れのような

強大な力を作り出すんです。

 

さいごに

 

今回はソーシャルワークの入門書して、

スイミーを紹介してみました。

 

スイミーを読むと、ソーシャルワークの核である「関係性」に

ついて、色々気づけるのでオススメです。

 

ソーシャルワークが難しくてお困りの方は

ぜひ読んでみて下さい。

社会福祉士養成学校では教えてくれない、現場で役立つ2つの視点

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 「社会福祉士をとったけど、学んだことが活用できない」

「これから社会福祉士を目指すけど、どんなことを学べばいいのだろう」

 

社会福祉士養成学校ではなかなか

現場に使えるスキルを教えてくれる機会はありません。

 

だから、実際に現場で働いた時、学んだことが

活用できないことに驚くこともあります。

 

今回は、社会福祉士養成学校では教えてくれない、

現場で役立つ2つの視点を紹介してみました。 

 

関係性を見る

 

ソーシャルワークの視点は部分だけでなく、

全体をみることが大切です。 

 

「木をみて森を見ず」のような状態ではいけません。

 

物事を俯瞰してみることがポイントです。

 

例えば、自分の会話を録音して聞いてみると

すぐに理解できます。

 

まず、思っている自分の声と実際に録音した声とは

全然違うように聞こえるはずです。

 

あと、考えている時「えっと」など言うなど、

自分の話すときのクセが嫌になるほど見えてきます。

 

また、他人を俯瞰してみると、周りにある関係性から

その人の感情を想像することも可能です。

 

この視点が身に付くとクライエントだけでなく、職場のスタッフとも

良好な関係が作れますので、是非、意識してみて下さい。 

 

『できる人は必ず持っている一流の気くばり力』では

俯瞰してみる大切さを分かりやすく説明してあるので、

興味のある方は、読んでみて下さい。 

物事の裏を考えてみる

 

社会福祉士の養成学校で国家試験に合格するのは

みなさん共通の目標だと思います。

 

だから、懸命に勉強した分、

合格できたら、嬉しく感じるものです。

 

しかし、合格で喜んでいる人がいる一方、

一生懸命頑張ったのに、

不合格で泣いている人も必ずいます。

 

まして、社会福祉士試験の合格率は半分以下だから、

悔しい思いをする方が多いでしょう。

 

そのような物事の「光と影」に注目するのは、

ソーシャルワークにおいて、とても大事です。

 

例えば、以前の記事で取り上げた

剣道の試合における「勝者のガッツポーズ禁止」は、

敗者への気持ちを考えた所作だと言えます。 

www.social-walfare.work

 

ただし、多くの人は「光」の部分しか見えないから、

灯台下暗しというように、物事の裏に気づかないんです。

 

実際の現場では、その影がソーシャルワークの対象と

なることもよくありますので、日頃から

物事の裏を意識した方がいいでしょう。

 

ポイントは現場に行き、いろんな人と会うこと。

 

これは理屈ではなく、「人はそれぞれ違う」という

実体験を重ねないと、「影」の部分はなかなか見えてきません。

 

また、スマホやインターネット通したオンラインな関係よりも、

近所付き合い、趣味サークル、ボランティアなど

直接に人と会う機会を増やした方がベターです。

 

まとめ

 

・関係性でみる

・物事の裏に注目する

以上の視点がソーシャルワークの現場ではとても大事です。

 

しかし、学校ではこの事を教えてくれませんので、

早い段階で意識したほうが、実習や現場でとても役に立ちます。

 

ファーストアクションとして

いろんな人に会ってみることが最善策です。

 

試験勉強も大切ですが、外に出て交流を広げることも

長い目でみれば、自分の成長につながります。

 

そんな風に考えてくれる社会福祉士が増えるといいなぁ~ 

傾聴に言葉はいらない、非言語コミュニケーションの大切さ

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社会福祉士だけでなく、

介護・看護など全般に必要とされる「傾聴」

 

「相手の話を聞いて関係性を良くする」イメージが

一般的かもしれません。

 

しかし、私の場合、傾聴に言葉は必要ないと思っており、

言葉の無いコミュニケーションの方が重要だと思っています。

 

今回は、傾聴と非言語コミュニケーションについて

考えてみました。

 

傾聴とは何か

傾聴の「聴」には、相手の気持ちに寄り添って聴く

という意味があります。

 

つまり、ただ漠然と話を聞くのではなく、

相手の気持ちに焦点をあてて話を聴くことが基本です。

 

しかし、傾聴と聞くと

言葉の内容から、相手の気持ちを理解しようとしていませんか。

 

傾聴をする上で、もっとも注意することは、

相手の言葉にとらわれ過ぎないことです。

 

ある研究では、言葉で相手のメッセージを

読み取れる割合はせいぜい7%ほど

 

あとは、声のトーン・速さが38%

目から入る相手の表情や態度が55%となっており、

耳よりも、目からの方が相手の情報を受け取りやすいのです。

 

傾聴において、言葉の意味に集中するよりも、

声のトーン・速さに耳を傾け、

目を使って相手の表情・しぐさをみる方がとても大切になります。

 

言葉がない会話の動画もありますので、ぜひご覧下さい。

非言語でも十分に内容を理解できるかと思います。

傾聴に言葉はいらない

 

あるドキュメンタリー番組で

青森の農業高校にいる女子生徒が

動物の飼育をする上で、こう述べていました。

 

「動物は言葉を持っていないので、顔をみたり、しぐさを見たり、

『今日ご飯食べてない』とか、『今日下痢だね』とか小さなことから、

深く考えないといけない」

 

つまり、言葉ではなく、日頃の表情・しぐさなど

非言語によるメッセージを読み取る重要性を話しています。

 

その訓練を積むことで、顔をみただけで

動物の気持ちを理解できるようになり、

適切なケアを行うようになっていくんです。

 

それは、人の介護でも同じことが言えます。

 

今、認知症介護として注目を浴びている「ユマニチュード」は

相手の目線を見て、気持ちを感じる

非言語コミュニケーションを基盤としています。

 

また、これは認知症の方に限ったことではないんです。

 

ほとんどのお年寄りは介護している人に「嫌われたくない」

と思っているため、本当の気持ちを言ってきません。 

 

だから、介護職員は相手の目を見たり、日頃の様子など

小さいところをよく観察して深く考えなければいけないんです。

 

気持ちが分かったら、それに合った対応をすればいい

 

相手の気持ちに焦点を合わせていくと、

少しづつ相手の本音に気づけるようになっていきます。

 

そしたら、それに合った声掛けを積極的にしてみましょう。

 

例えば、利用者から「眠たい」を感じたら、

「ベッドで休みませんか」とか。

 

「のどが渇いた」という気持ちを感じたら、

「何か飲みませんか」とか声に出した方がいいです。

 

しっかり傾聴できていれば、即答でお願いしますと

言ってくれますし、関係性も良くなります。

 

上手くいかなくても、間違えても構いません。

 

傾聴は、何度も訓練して磨いていくことが

なにより大切になります。

 

まとめ

 

今回は「傾聴」について考えてみました。

 

傾聴には言葉の内容を聞くのではなく、

日頃の表情・しぐさなど

非言語によるメッセージを読み取ることがポイントです。

 

ただし、これは

普段から相手の目線をみて会話をしたり、

日頃の動作に気を配ったりしないとできません。

 

そして、何回も訓練を続けると、相手の気持ちに

近づけるようになり、相手に適切なケアを提供することが

可能になります。

 

最初は訳が分からないと思いますが、

やっていくうちに、コツをつかめるようになりますので、

諦めないことが大切ですよ。

剣道のガッツポーズ禁止ってバイスティックの原則「統制された情緒関与」と思う件

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わたしは高校時代、剣道部に所属していまして、

下手ながらも剣道2段を取得しています。

 

今回は剣道をソーシャルワークの視点で

考えてみようと思います。

 

剣道でガッツポーズはNG

 

剣道では相手の面、小手、胴、突き

どちらかの部位を竹刀で当てると「一本」となり、

先に2本決めると勝利となります。

 

しかし、一本を決めた時、

思わずガッツポーズを決めると取り消しになるんです!

 

ほとんどのスポーツはガッツポーズをしても問題になりません。

 

しかし、剣道には「残心」という言葉があり、

技が決まっても、気を抜かない姿勢基本としています。

 

一本決めてガッツポーズをされたら、

負けた相手は良い気持ちがしませんよね。

 

なんか「おごっている」ような感じがあり、

一瞬、友達になりたくないと思ってしまうかも・・・

 

そういう意味で、ガッツポーズをしないことは、

相手に対して尊重する態度にもつながるんです。

 

ソーシャルワークも残心が大切

 

剣道ではどんなに技術が上手くても、

心ができていないとダメなスポーツです。 

 

どんな時も、心を途切らせない「残心」が大切であり、

同時に相手を思いやる事につながっています。

 

また、試合中のガッツポーズもそうですが、負けた時に

悔しくて竹刀で床を叩きつける人もみかけます。

 

これも残心がない態度です。

 

このような感情に支配され、心が途切れた状態は、

周りの人を嫌な気持ちにさせてしまいます。

 

だから、自分の心を鍛えて、

どんな時も冷静さを失わないことが大切です。

 

これはソーシャルワークでも同じことが言えます。

 

相談援助技術におけるバイスティックの7原則に

「統制された情緒関与」 という考えがあるのはご存知でしょうか。

 

統制された情緒関与とは、

「ワーカーが相談者の感情に呑み込まれないこと」

とあり、ソーシャルワークにおける大切な要素とされています。

 

裏を返して言えば、

ワーカーの心が弱いと相手に振り回されるということです。

 

 

「残心」と「統制された情緒関与」は両方とも

自身の心にポイントがあり、周りにも影響を与えるものになります。

 

心を鍛えるにはどうするの

 

剣道のガッツポーズや統制された情緒関与は

自身の心の在り方が関係しています。

 

だから、どんな時も「残心」ができるように

心を鍛えていかないといけません。

 

剣道では寒い中で稽古をしたり、

先輩や先生を敬い、礼儀作法を通して心を鍛えます。

  

一方、ソーシャルワーカーには「自己覚知」という

自分の心を観察する方法があります。

 

どちらとも、真剣に自分と向き合うことがポイントです。

  

仕事において、若いうちは失敗を恐れずに

いろいろやってみることもいいでしょうね。

 

まとめ

 

剣道のガッツポーズは「残心」がない状態です。

 

このような気持ちが途切れている状態は、相手への失礼な態度と

つながり、不快にさせる原因にもなります。

 

だから、剣道はどんな時も油断しないような

心を鍛える必要があるんです。

 

また、「残心」はソーシャルワークにおける

「統制された情緒関与」と関連しています。

 

ワーカーも心を鍛えるために

「自己覚知」という方法があるんです。

 

「自己覚知」については、

詳しく書いてある記事があります。参考まで。 

www.social-walfare.work

 

 

2019年の社会福祉士試験問題は「過去問ひたすら勉強法」からの転機と考えるべき

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2019年2月に

31回目の社会福祉士の試験がありました。

 

受験された方はお疲れ様です。

 

わたしも、

前年(2018年)の試験は通年より高い

合格点99点と波紋を広げた騒動も記事にしており、

今年の試験内容に興味を持っていました。  

www.social-walfare.work

 

ツイッターやまとめサイトなど限られた情報だけですが、

2019年の社会福祉士試験についていろいろ書いてみました。

 

2019年社会福祉士試験で分かったこと

 

2019年の試験問題はとても鮮度の高い問題が

目立っており、2018年に出た最新のデータを使った問題も

ありました。

 

特に凄かったのは、「現代社会と福祉」の分野で

今、問題となっているヘイトスピーチを扱っていたところです。

 

他にも、LGBTのような「セクシャルマイノリティ」の

問題など未出題の問題が多くみられ、 

よくブログで見かける「過去問ひたすら勉強法」では、

対応できない問題が増えてきたかなと思いました。

 

そして、今年の試験は時事問題や最新データを使って

受験生の実力を試されるようになったのが、

特徴だったといえます。

 

「過去問ひたすら勉強法」の限界

 

もはや入試問題をひたすら解いて、

出題傾向をつかむ勉強方法は

誰もがやっている王道です。

 

2018年の試験で合格点が急上昇した原因も、

「過去問ひたすら勉強法」にあると

出題側が考えるのは当たり前で・・・

 

最新の情報を用いた問題で、

過去問暗記するだけの人を落として、

合格ボーダーラインを下げるのは、

当然の対応と言えるでしょう。

 

今後の試験も、過去問中心とした勉強では

通用しない問題を出してくる可能性は高いでしょう。

 

そういう意味で、

2019年の社会福祉士試験問題は「過去問ひたすら勉強法」への

警鐘と考えるべきだと思います。

 

これからは社会福祉士として日頃から物事を見ている、

暗記だけでなく深い学習を行うなど、地道に頑張ってきた人が

合格できる試験になっていくでしょうね。

 

まとめ

2019年の社会福祉士試験問題は

最新のデータを使った問題が例年より多く見られました。

 

運営側は、過去問を中心とした勉強では通用しない問題

を出して、受験生の実力を問う傾向を強く感じました。

 

なので、2019年の社会福祉士試験問題は

「過去問ひたすら勉強法」の転機と考えるべきでしょう。

 

もちろん、過去問で傾向をつかむのは大切ですが、

それだけでは不十分です。

 

社会福祉士として日頃から物事を見ている、

暗記だけで留まらず、深い学習を行うことが

ポイントになるでしょう。

 

わたしは過去問中心勉強に偏り、社会福祉士として

必要な力が育たないと感じるので、

2019年の試験はとても良かったと思います。

 

また「過去問ひたすら勉強法」について

わたしの見解を書いています。参考まで。 

www.social-walfare.work

 

チームワークを良くするために、リーダーは見栄を張っちゃいけない

チームワークを考えるとき、

何と言っても、リーダーは欠かせないものです。

 

わたしは高齢者介護でリーダーとして、

6年ほど勤めていますが、

最初の1~2年は多くの失敗をしました。

 

上司に「普通の会社じゃクビにしてもおかしくない」

言われたくらいです。

 

その時は、本当に苦しくて、

ツラかった・・・

 

しかし、負けずにひとつずつ課題をクリアして、

何とかリーダーとして頑張っています。

 

今回は、「チームワーク」をよくするために

リーダーは何をするべきか、わたしの経験をもとに

考えてみました。

 

リーダーは見栄を張ってはいけない

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初めてリーダーを任されたとき、スタッフの

見本になるような仕事をしようと思っていました。

 

立派な姿を見せることができたら、

スタッフはわたしについてきてくれる!

 

そんな気持ちで仕事に打ち込んでいました。

 

しかし、リーダーだから

「しっかりしなければならない」と思う反面、

見栄を張ることも増えました。

 

自分ができないことを「できる」と言って

ごまかしたり、仕事のミスを認めることができず、

スタッフのせいにしたり・・・

 

そんな見栄を張っていたら、

スタッフの信用がガタ落ちになっていました。

 

失った信用を取り戻すためにした2つの事

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わたしは、失ったスタッフ信頼をどうやって取り戻すか

ものすごく考えました。

 

そして、信用を回復するために行ったことは2つあります。

 

1つ目は、自分ができないことは見栄を張らずに

素直に「できない」と受け入れること。

 

いわゆる、

ソーシャルワーク技術における「受容」です。

 

今までは、できない仕事をできると言い張って、

ミスをして、周りに迷惑をかけていました。

 

しかし、「自分ができないこと」を受容できると、

相手にその仕事を振ることが簡単になり、

チームを動かすことができるようになりました。

  

ただし、リーダーはできないことが多すぎて、

スタッフに仕事を振ってばかりいてはいけません。

 

そこで、わたしが2つ目に行ったのは、

仕事のパフォーマンスを上げることです。

 

できない仕事をできるように人の2倍以上働き、

どんな仕事でもミスなく、

ムダなく、スピーディに取り組んでいきました。

 

そして、仕事のパフォーマンスを上げた結果、

スタッフの信用は上昇していき・・・

 

今では、「私がいないと成り立たない」と

言われるまでになりました。

  

リーダーになることで自身の成長につながった

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最近、部下に仕事を振るときに、

できないと言って逃げることがよくあります・・・

 

わたしもリーダーになったときは、

経験もなく、できなくて苦労しました。

(今も苦労していますが・・・)

 

しかし、リーダーという立場になることで、

わたしの足りない能力がわかり、それを乗り越えることで

成長することができました。

 

つまり、できない状況は自分を成長させるチャンスでもあるんです!

 

だから、リーダーだけでなく、できない仕事も

逃げずに、責任を持ってやるべきだと思います。

 

これが、ソーシャルワークでいう「エンパワーメント」を引き出し、

自分の隠れていた能力を見つけられるはずです。

 

まとめ 

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チームワークを良くするために、リーダーはどうするべきか

わたしなりに考えてみました。

 

ポイントは2つ

・できないことに見栄を張らず、受け止める

・仕事のパフォーマンスを上げる

これができるとチームの雰囲気がとても良くなります。

 

たとえ、未経験でリーダー相応しくないとしても、

頑張り次第で、それに見合う能力が身に付きます。

 

だから、

「できない」と言って逃げるのはもったいないです!

 

「できない」というのは成長のチャンスと捉えて 

受容するところから、初めてみたらどうでしょうか。

 

また、「できない」と向き合うには「勇気」が必要です。

 

『嫌われる勇気』という本は

とても役に立ち視点がいっぱいありました。

 

興味のある方は是非読んでみて下さい。

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洗濯物たたみロボットで人生の9000時間が節約できる代わりに失うもの

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今回のテーマは「洗濯物たたみ」です。

 

洗濯物たたみは家事の中でかなりの割合を

占めており、人生で9000時間も使っています!

 

今、この時間が節約できると期待の

洗濯物たたみを自動化するロボットが出てきました。

 

それが「ランドロイド」です。 

 

ランドロイドは、大きな冷蔵庫みたいな形をしていますが、 

仕組みはとてもシンプルです。

 

洗濯済みの乾いた衣類を

下の引き出しに入れてから、ダイヤルを回すだけで、

自動でたたみ、種類別で分けてくれます。

 

現在の価格は185万円と高く、

たたむ時間も長いなど

価格・機能的にも改善点が多いです。

 

しかし、将来的には低価格・高品質に

なって、一般家庭にも普及するかもしれません。

 

そうなれば、仕事と家事で忙しい人や、

身体が不自由な障害者・高齢者などにとって

役立つ家電になるでしょうね。

 

人の手で洗濯物たたみする良い点とは

ランドロイドに任せれば、

人生の9000時間を洗濯物たたみで使うことはありません。

 

9000時間も自由な時間を節約できるのは

すごく魅力的でしょう。

 

しかし、人の手で洗濯物を畳むのも

とても大切なんです!

 

わたしは高齢者デイで働いていますが、

利用者さんに「洗濯物たたみ」をお願いする事がよくあります。

 

きっと、他の高齢者施設でも

よくみかける光景かもしれません。

 

介護施設で洗濯物をたたむメリットは

・椅子に座りながらできる

・単純でわかりやすい

・身近で誰も経験した事がある

以上の3つがあげられます。

 

また、誰かが作業をやっていると、それを見た

他の利用者が手伝うこともあり、協力して

行うこともよくあります。

 

洗濯物たたみは時間のムダなのか

 

元気な若い世代にとって、洗濯物たたみは

ただの雑用で、時間の無駄と感じやすいかもしれません。

 

しかし、高齢者の洗濯物たたみを見ていると

その出来に、一人一人の人生が表れるので、

ムダではないと思います。

 

特に家事の経験が長かった女性高齢者は

早く、きれいに衣類を畳むので、

本当にスゴイです。

 

やはり、人生の9000時間をそれに費やしたから、

生活と作業がリンクしているのでしょう。

 

そういう意味で、人の手での洗濯物たたみは、

お年寄りになってから、価値が出てくるものと言えます。

 

逆を言えば、ロボットに任せれば、

高齢者と洗濯物たたみの関係性が絶たれ、

つまらない作業になるでしょう。

 

まとめ

 

自動洗濯物たたみ機「ランドロイド」が登場しましたが、

人の手で行うのも大切です。

 

バリバリに動ける人は、雑用だと感じると思うでしょう・・・

 

しかし、高齢者にとっては、

簡単にできる身近なリハビリであるし、生活を感じられる作業です。

 

そして、ランドロイドだけでなく、

さまざまな家事をロボットで自動化する動きがみられます。

 

生活をロボットに任せることは便利ですが、

安易に使用していると大切なものを失ってしまう

リスクを考えて行動したいものです。