30代になった社会福祉士・しげKickのブログ

昭和60年生まれ社会福祉士のしげkickです。福祉や医療関係、その他ゆるく書いていきます。

ブログタイトル

偶然出くわした夕日の光景から日本画家・横山大観の技法を体感した話

今回は仕事で偶然出くわした景色に

「芸術」を感じた話について話していきます。

 

わたしは高齢者デイサービスで働いており、

帰りの送迎時、車を走らせていく中、

濃い霧に夕日が差込む風景を見ました。

 

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濃い霧によって、輪郭がぼやけた夕焼けは

まるで横山大観の水墨画に入り込んだみたいでした。

 

横山大観とは

横山大観とは1868年に生まれた日本画家です。

 

西洋画の画法を日本画に取り入れた画家であり、

輪郭を明確に描かない手法「朦朧体」(もうろうたい)

で知られています。

 

 

島根にある足立美術館で、

横山大観の作品をみたことがありますが、 

輪郭がない技法により、霧や雲などの表現が

非常にリアルでした。

 

大観の技法「朦朧体」から感じたこと

 

わたしがたまたま出会った夕日の光景が、

以前見た横山大観の絵と重なりました。

 

広がる霧によって、木や建物の輪郭があいまいになり

融合する様は、強く心が揺さぶられました。

 

その光景から「自由」というか、 

ありのままに受け入れる「受容」のような

開放感を感じたんですね。

 

一方、私たちの社会は「白と黒」で区別され、

曖昧なものを排除してすっきりさせる方へ突き進んでいます。

 

現在の日韓関係やヘイトスピーチでも、

正義と悪の境界線を引くことで、

自分たちの「正義」を主張するために、悪を叩き

排除しようとする人たちが目立っています。

 

やっぱり、境界線を引いた方が物事がはっきりするから、

考える必要がなくて、楽なんですよね。

 

しかし、偶然出くわした夕日の景色から、

「境界線はない」という大切さに気付くことができました。

 

 

さいごに

 

そういえば、横山大観が「朦朧体」という技法を用いた時は、

輪郭を持つ絵が主流だったので、

当時、大観は多くのバッシングを受けていたようです。

 

輪郭を持たない絵は、ぼやけて分かりにくいですし、

当時の人々にとっては気持ち悪く感じたのでしょうね。

 

でも、その大観を批判した状況は

今の社会とリンクするような感じがあります。

 

その曖昧さを受け入れられる寛容さが

求められている気がします。

 

ソーシャルワーク援助技術で、一番大切なのは「笑い」かもしれない

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いろんなソーシャルワークがあるけれど・・・

 

社会福祉士を取ってから、数年経ちました。

 

学校ではエンパワーメントやストレングスなど

沢山の理論やアプローチについて講義を受けましたが、

今になって思うのが「笑い」の重要性です。

 

実は「笑い」自体がソーシャルワークの援助技術であり、

社会福祉士はもっと活用するべきではないのかなと思います。

 

なので、今回は「笑い」について

ソーシャルワークの視点で考えてみます。

 

「笑い」はソーシャルワークに大きく関わる

 

例えば、あくびをしている人を見ていると思わず、

したくないのに自分もあくびをする時があります。

 

あくびが他人に伝染すると同じように、

笑いも伝染する効果があるんです。

 

「笑い」から他者へ伝染し、働きかけること自体が、

ソーシャルワークであり、社会福祉士は「笑い」に

対してもっと関心を持った方が良い気がします。

 

ちなみに、最近の研究では、笑うことにより、

脳内物質「エンドルフィン」が引き出されるとされています。

 

「エンドルフィン」は幸せをもたらす働きがあり、

伝染の要因にもなっている脳内ホルモンです。

 

つまり、笑いというのは、他者に感染し、

幸せをもたらす脳内ホルモンを分泌させる効果があります。

 

だからこそ、ソーシャルワーク援助では、

「笑い」を活用することがとても重要です。

 

笑いを活用するスゴイ人たち

 

福祉の現場では笑いを取り入れ、

工夫している人は沢山いると思いますが、

その中で、注目するべき人を紹介します。

 

婆ちゃんコント

 

最初に紹介するのは、

石川県にあるボランティア劇団が行っている

「婆ちゃんコント」です。

 

元々は踊りと歌だけを披露していましたが、

「お年寄りを笑わせたい」という理由から、

婆ちゃんコントは始まりました。

 

座長とその相方が身近な事をネタに漫才して、

今では年間200公演も行うほどの人気があります。

 

何よりも観客であるお年寄りの元気さに驚きます。

 

腰が曲がった杖歩行のお婆さんも、

コントのために頑張って会場に向かうほどです。

 

コントがあることで、それを楽しみにしている

多くの人にエンパワーメントを与えている素晴らしい

活動だと思います。

 

お笑いコンビ・レギュラー

 

 

 

「あるある探検隊」というネタで

一躍ブレイクしたお笑いコンビ・レギュラー。

 

そんな彼らがレクレーション介護士の資格を取り、

介護と笑いを組み合わせた新たな挑戦を行っています。

 

youtubeで彼らが考案した

レクレーションを見ましたが、実用性が高く

非常に参考になりましたよ。

 

実践の中で、彼らが大事にしているのは、

「失敗しても大丈夫な雰囲気を作る」を作る事だそうです。

 

失敗を笑いに変えることで、多くの人に笑ってもらいたい。

 

この視点は、社会福祉士において大切かと思います。

親の介護は若い世代でも起きる!そうなる前に知っておきたい社会保険の話

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親が介護を必要になったらどう対応しますか

 

介護施設で働いてもう8年以上経ちました。

 

最近、60代後半の高齢者も利用することが多くなり、

自分の両親と同じ年齢の方が増えています。

 

私が20代の時は、親が要介護になるなんて、

微塵も感じたことがありませんでした。

 

でも、30代になって、親と同じ年齢の利用者をお世話していると、

決して他人事ではないと思うのです。

 

なので、今回は「親が要介護になる」ことについて

考えてみます。

 

50代の時、親を介護することが一番多い

 

日本における65歳以上の高齢者は総人口の約28%と増加する一方、

全体の人口は減少傾向にあります。

 

高齢者を支える人たちが不足する中、

週刊東洋経済の記事で、子どもが何歳の時に、

親の介護をするようになったのかデータを紹介しています。

 

一番多かったのは、50代で36%、

2番目に多かったのは、40代で20%でした。

 

つまり、40~50代になると、ほぼ半数の人が

親の介護に追われる状況になってしまうのです。 

 

10代でも親の介護をする子もいる

 

しかし、10代、20代の若い世代でも親の介護を負うことがあります

 

わたしの職場でも、18歳の女子高生が認知症の母親を介護している

ケースがありました。

 

最近では、親など家族の介護に携わる若者をさす

「ヤングケアラー」という本が話題を呼び、

メディアでも少しずつ注目されるようになっています。

 

日本において、未成年の子どもは、

親が面倒をみる前提で社会が成り立っていますので、

子どもが親を介護することは想定されていません。

 
だから、親を介護する若い世代は、
公的な支援もなく、介護を理由に学業をやめたり、
就職に不利な状態になったりします。 
 

親の介護は自力じゃキツイ

親の要介護状態になるきっかけは、

自分の経験で言うと認知症や脳梗塞、くも膜下出血など

脳に関する疾患が多いです。 

 

子どもにとって、認知症を持つ親は精神的負担が大きく、

今までできたことを忘れてしまう親を見ると

非常に苛立ちを感じやすくなります。

 

脳梗塞、くも膜下出血は命は助かっても、

後遺症が残りやすい病気です。

急激な親の変化に混乱しまうこともあるでしょう。

 

また、精神的な負担だけでなく、

家族の介護を理由に離職に追い込まれ、

経済的な問題も抱えることも考えられます。

 

何より自力で親を介護するのはキツイもの。

 

社会保険を活用して、少しでも負担を

軽減できるようにすることが大切です。

 

どんな社会保険が使えるのか 

 

家族の介護は精神・身体的な負担だけでなく、

経済的な問題もあり、公的な制度である

社会保険を利用しましょう。

 

親が常時介護を必要とする場合に使える社会保険は

・介護休業制度

・介護保険

この2つが挙げられます。

 

どちらも利用するにあたって、

「介護認定」が求められると想定されます。

 

まず、この制度を活用したいと思ったら、

近くの地域包括支援センター、高齢者支援センターに

相談するといいでしょう。

 

介護休業制度とは

家族を介護する場面は、ある日突然やってくるものです。

 

もし自分が社会人であれば、

これからの仕事と家族の介護について準備する時間が必要です。 

 

それを支える仕組みが「介護休業制度」です。

 

介護休業とは、家族が要介護状態になった時に

最大93日間まで会社を休める制度になります。

 

介護休業を利用している間、公的なサービスを利用して、

今後の方針を決めていく流れになります。

 

この対象になるのは、会社に勤める正社員、契約社員などの労働者です。

(雇用期間が6か月未満など対象外はあります。)

 

また、この制度を使うためには、親が介護認定を受けて

要介護度2以上をもらう必要があります。

 

親が要介護度1以下であっても、厚生省が定める

「常時介護を必要とする状態に関する判断基準」の

一定基準を満たせば利用可能です。

 

しかし、休業中は働くことができないので、

どうしても収入の減少や無給が生じてしまいます。

 

もし会社から賃金が支払われなかった場合、

雇用保険の介護休業給付金を受給することできます。

 

介護保険とは

 

簡単にいうと、介護保険は

公的な介護サービスを安価で受けられる制度です。

 

ただし、39歳以下の要介護者は

介護保険を受ける資格がありませんのでご注意を。

 

ちなみに介護保険のサービスは幅広いです。

 

自宅に来て生活援助を行う「訪問介護」、

日帰りで施設に行き介護を受ける「通所介護」、

短期間施設に宿泊できる「短期通所」、

老人ホームなどの施設入所などたくさんです。

 

ベッドや杖など福祉用具のレンタルや

自宅に手すりを付けるような住宅改修も含まれます。

 

また、介護保険では、

要介護度に応じて、使える利用限度額が決められており、

利用限度額を超えなければ、1割の自己負担(高所得の人は2割or3割)

で介護サービスを受けることができます。

 

もし上限を超えた場合は、その分だけ10割負担になります。

対人関係の不安を抱えたまま社会福祉士になるのは大変!その原因と克服法を考えてみた

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対人関係の不安を抱えたまま

社会福祉士になるのは非常につらいです。

 

就職採用の面接で落ちる確率は上がりますし、

もし働けても、職場の人やクライアントとうまく関係ができずに

苦しい思いをしてしまいます。

 

私は対人関係が苦手で、何度も採用試験に落ちましたし、

就職後も接客態度やスタッフとの対人関係で悩みました。

 

でも、社会福祉士の学校では、

試験に受かることが重視されて、

対人関係を改善する機会がほとんどありません。

 

なので、自力で「対人関係」を克服する必要があります。

 

きっと社会福祉士を目指している方でも、

わたしと同じように「対人関係の不安」

感じている人は少なくともいるはずです。

 

そんな方に向けて、その原因と克服方法を考えてみました。

 

対人関係における不安の原因

 

大平健の著書『やさしさの精神病理』で、

やさしさについて「古典的(ホット)」と「新しい(ウォーム)」

の2種類があると述べています。

 

古典的なやさしさとは、

相手の気持ちに触れ、

寄り添って共感するホットな関係です

 

しかし、

若者は古典的なやさしさ」を嫌い、

相手の心理に踏み入れない範囲でやさしく接するようです。

 

これをウォームな関係、

つまり「新しいやさしさ」と著者は名付けています。

 

なぜ、若者は「新しいやさしさ」を選ぶのでしょうか。

 

この新しいやさしさには

相手を傷つけたくない」

「自分も傷つきたくない」

という気持ちが隠れています。

 

相手の内面に深く触れることで、

相手に嫌がられる反応が見たくないから、

相手の心理に踏みこむ「古典的やさしさ」でなく、

傷つかない範囲で気遣う「新しいやさしさ」が登場しました。 

 

私たちは日ごろのコミュニケーションは、

この「新しいやさしさ」によって成り立っています。

 

そして日常会話において、私たちは

相手が傷つかないように言葉を選び、

言葉で自分を隠そうとします。

 

私たちは本当のことを話そうとはせず、

言葉を隠れミノにして、 本音を出さずに暮らしています。

 

その中で、言葉選びが巧みな人にとって、

言葉は対人関係を上手くこなし、

都合の良いように、相手をだますこともできる便利なものです・・・

 

しかし、言葉選びが苦手な人にとって、

言葉は「ナイフ」のようなものでしょう・・・

 

下手に使って、相手や自分を傷つけてしまわぬように慎重になり

うまく言葉をかけることも難しくなります。 

 

つまり、対人関係の不安というのは、言葉の選択ミスで

「傷つきたくない」から

人との関わりが困難に感じるのだと思います。 

 

どうやって克服するべきか 

 

対人関係の不安は、

「他者の心に触れたくない」

「傷つきたくない、傷つけたくない」

という気持ちが隠れています。 

 

でも、「傷つきたくない自分」に嘘をついて、

無理にコミュニケーションを頑張ると、

精神的に参ってしまい、対人関係が嫌になってきます。

 

では、どうすればいいでしょうか。

 

「人の心に触れたくない」気持ちに自ら気づくことです。

 

いわゆる、自己覚知が重要になります。

 

簡単にいうと、真剣に自分と向き合い、

自分に気づくプロセスです。

 

他人から答えを求めず、「どうして対人関係が苦手なのか」

じっくりと考える事が大切になります。

 

 「苦手な事」「やりたくない事」は、

直感的に思うことであり、その中に本当の自分が隠れています。

 

なので、無理にコミュニケーションを頑張らないことが大切です。

 

最低限の挨拶とか感謝の言葉など

「一声かける」ことができれば十分です。

 

無理に頑張らないことで、対人関係が苦手な自分を

俯瞰してみることが可能になり、自己覚知が深まっていきます。

 

しかし、現実的にはコミュニケーションを

頑張らなければならないことが多々あります。

 

その場合は、

相手に興味をもつところから始めてみましょう。

 

「この人はどんな人だろうか」と考えながら、

人と接すると自然と自分の心が開いて、

対人関係が良くなります。

 

まとめ

 

対人関係の不安は「傷つきたくない」気持ちが

大きく関わっています。

 

そこには、本当の自分の気持ちが隠れているので、

無理にコミュニケーションを頑張らず、

俯瞰する感じで自分を捉えることが大切です。

 

しかし、日常生活や仕事では対人関係を

求められることがよくあり、難しいかと思います。

 

なので、まずは相手に興味を持つことがいいでしょう。

 

相手に興味を持っていると、

自分の心を開く習慣を身につき、対人関係も良くなりますよ。

 

コミュニケーションを求める職場って、スタッフを疲弊させているじゃないのかなぁ

私は以前、老人ホームで働いたことがあります。

 

その時、女性パートさんがこんなことを言いました。

 

「老人ホームは体力的にキツイけど、

お話ができない利用者が多いから、私にとっては楽」であると・・・

 

私が昔働いていた老人ホームは、

寝たきり状態、重度の認知症を患う人がほとんどでした。

 

パートさんが言うように、寝たきりや、認知症の方は

入浴、食事、排せつの介助が多く、身体的なストレスが大きいです。

 

もちろん、利用者のほとんどは発語や脳の機能に問題があり、

黙った利用者で溢れて、話す必要がない環境でした。

 

そんな環境がパートさんにとって、働きやすかったようです。 

 

デイサービスについて

 

そして現在、老人ホームを辞めて、

デイサービスで働いています。

 

デイサービスは在宅支援が目的なので、

頭がしっかりとした、元気な高齢者が多いです。

 

だから、毎日、利用者を退屈させないように、

お話しないといけない場面が多々あります。

 

でも、自分は「話をしたくない」のに、強制的に話さないといけない職場って、

かなりしんどいんです。

 

だから、洗濯物や皿洗いなどの雑用を見つけて

なるべくコミュニケーションを避けようと

防衛機能が働いてしまいます。

 

「話したくない」自分に嘘をつく

 

雑用を見つけて、会話から逃げるスタッフもいれば、

無理やり発語して頑張るスタッフもいます。

 

でも、「話をしたくない」気持ちを抑圧して出た言葉は、

妙に大きく、明るい声で違和感を感じます。

 

何よりも、無理やり出した声から

「わたしは話したくないけど、仕方なくやっています」

いう暗黙のメッセージを含んでいるように思えます。

 

実は「話をしたくない」のに、無理に話す行為は、

相手に違和感を与える失礼な行為なんです・・

 

でも、しっかりとしたお年寄りは

その違和感を教えてくれません。

 

だって、その違和感を指摘すると嫌われて、

介護をしてくれなくなると困るからです。

 

また「話をしたくない自分」に嘘をつくことで、

自分自身も精神的ストレスにやられてしまいます。

 

このまま自分に嘘をつき頑張っていたら、

吃音やうつなどの病気が現れるかもしれません。

 

したくない自分に気づく

 

仕事で、苦手なコミュニケーションを克服する場合、

研修やセミナーに参加したり、本を読んだりして

スキルアップを図ると思います。

 

でも、どんなテクニックや方法を学んでも

「話したくない自分」をごまかすことはできません。

 

声の響きや身体から、苦手な気持ちが表出してしまいます。

 

結局、コミュニケーションを良くする初期段階は、

「話をしたくない自分」に気づくことから

始めることだと思います。

 

いわゆる「自己覚知」です。

 

この気づきによって「したくないことを一生懸命頑張っている自分」を

止めることができます。

 

でも、周りはコミュニケーションを求めている

 

「話をしたくないことに気づく」ためには

職場の上司やスタッフの協力が不可欠です。

 

本来、話をしたくないスタッフを見つけたら、

「無理して話をしなくていいよ」と言えるほどの

寛容な態度が必要かもしれません。

 

しかし、わたし達は、話をしたくないスタッフに対して、

イライラを感じてしまいます。

 

だから、一生懸命話すように促し、

無理して頑張ることを望んでしまうのです。

 

それが、スタッフを精神的に追い詰めて、疲弊させているんですね・・・

 

結局、周りがコミュニケーションを求めている限り、

コミュニケーションが苦手な方はずっとつらい思いをしてしまいます。

 

だから、「したくない自分」に気づくために、

まず、周りが過剰にコミュニケーションを求めるのを

やめた方がいいのではないでしょうか。

【初心者向け】バイスティックの7原則の「意図された感情表出」について説明してみた

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社会福祉士の試験だけでなく、

介護職全般で学ばれる「バイスティックの法則」

 

前回は個別化を取り上げました。

 

www.social-walfare.work

 

その中でも「意図された感情表出」

ケースワークの基盤できわめて重要です。

 

また、バイスティック7原則の

受容、自己決定、統制された情緒的関与にも

強く関係しています。

 

なので、今回は「意図された感情表出」について

取り上げてみました。

 

意図された感情表出とは

 

「意図された感情表出」とは

クライエントの感情表出の場を保証することです。

 

まず、大切なのは「感情表出」というワードであり、

意味をよく理解しないといけません。

 

では、そもそも「感情」って何でしょうか?  

 

例えば、「喜ぶ」というのは、ゲームで強敵と戦い、

なんとか勝利した時、ふと「やったー」と声を上げたり、

ガッツポーズをしたりするような心の高ぶりを指すのでは

ないでしょうか。

 

その時、決して「自分は喜んでいる」と自覚していません。

 

やがて高ぶった気持ちが収まって、ふと我に返った時、

「喜び」と名付けて、その感情を客観的に意識しているはずです。

 

一般的に感情は「喜・怒・哀・楽」と区別されていますが、

それらは、心の高ぶりが抜けた死骸であり、本質的には違います。

 

本当の感情とは、

真剣に全身で現実と向き合って起こる反応です。

 

そして、感情表出とは、現実に対して全身で闘う中で

溜まった感情のマグマを噴き出すことです。

 

感情が表出すると相手はスッキリするような

デトックス効果があります。

 

それだけでなく、ワーカーにとって、無意識に表出された感情は

相手の抱える現実を知る手掛かりになるんです。

 

特に、怒りや悲しみという感情には、

「本当にしたい事、叶えてほしい事」が隠されています。

 

そのニーズを読み取り、支援に結びつけるのが、

ケースワークであるなら、感情表出の場を保証するのも

支援者にとって大切な役割と言えるでしょう。

 

どうやって「感情表出の場」を支えるのか

 

意図された感情表出のためには、

相手に対して「何もしていい」という

ワーカーの寛容さが必要です。

 

しかし、相手に「何もしていい」ということは、

突然、ワーカーを傷つける言動もあり得ます。

 

その時に、感情的にならずに、

あるがままを受け止める「受容の原則」

必要です。

 

また表出された感情は

ワーカーの感情を刺激し、呑み込まれやすいため

冷静な対応を取れないこともあります。

 

だから、ワーカーには統制された情緒的関与

が求められるのですね。

 

そして、相手が無意識に表出された感情から、

自分が何かしたいのか、冷静に受け止めができた時、

本当の気持ちを表現できるようになります。

 

表現するというのは、自分の意志を伝える事であり、

自己決定の原則に重要な要素です。

 

つまり、「意図された感情表出」を支える要素として、

受容、自己決定、統制された情緒的関与があると

いうことです。

 

決してバイスティックの原則はバラバラの理論ではなく、

意図された感情表出を基盤にして、他の原則をつないでいます。

【初心者向け】バイスティック7原則「個別化」をくわしく説明してみた

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相手の関係を良くするための基礎知識として知られる

「バイスティックの原則」

 

社会福祉士だけでなく、ケアマネ、介護福祉士の試験でも

幅広く取り上げられています。

 

なので、福祉に詳しくない人でも分かりやすく、

バイスティック原則を取り上げてみようかと思います。

 

今回はバイスティック7原則のひとつ

「個別化」から説明をしてみます。

 

個別化の原則とは 

 

バイスティック7原則のひとつに

「個別化の原則」があります。

 

「個別化の原則」とは

相談する人が抱える問題は、ひとそれぞれ違うということです。

 

人間って曖昧な存在であり、

その多様さを受け入れることが大切になります。

 

以前、社会福祉士の問題で出題された

ポストモダン的な考えとも言っていいでしょう。

 

私の場合、「個別化の原則」は”色”のイメージで捉えています。

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わたしたちは普段、赤、青、黄など名付けて、

区別をしていますが、色相の画像を見ると明確な境界線はなく、

色は無限にあることが分かります。

 

「色は無限にある」ように人もそれぞれ違う色があり、

同じものがないイメージが大切な要素です。 

 

頭で「個別化」を理解してもダメ

 

では、個別化の原則を鍛えるには

どうしたらいいでしょうか。

 

インターネットや本を読むなど

頭で理解しても、意味がありません

 

個別化に大事なのは、いろんな人と会い、

「人はそれぞれ違う」という体験を蓄積することが

きわめて重要です。

 

きっかけは何でもいいですが

外に出て、沢山の人と出会いを積み重ねる

努力をしましょう。

 

趣味サークル、自治会など何でもOKです。 

個人的にはボランティア活動がとても良い経験になったので、

オススメです。 

 

経験が個別化を曇らせる

  

しかし、個別化の原則を実践してみると、

手間がかかって面倒と感じてしまうものなんです。  

 

でも、決して手を抜かずに、全力で

相手と向き合っていく姿勢が求められます。

 

特に注意したいのが「経験」です。

 

これが個別化を曇らせる原因となります。

 

相談職の経験を積んでいくと次第に慣れてしまい、

マニュアル化した対応になること少なくありません。

 

そういったマンネリは、気づかぬ内に

「個別化の原則」から外れてしまいます。

 

そうならないためにも、

一人一人の関係の中で新しい発見があるという

常に自身をアップデートする意識が大切です。

 

知識も要注意!

 

また、経験と同様に「知識」も

個別化を邪魔する原因になります。

 

学生の時は、心理学や援助技術など学んだ知識は

実際に使ってみたくなるものです。 

 

わたしも社会福祉士の実習時、 

援助技術やアプローチなどをいろんな人で

試そうとしていました。

 

そんな中、学んだ知識を

相手に当てはめることに夢中になって、

まったく相手を見ていないことに気づいたんです。

 

つまり、知識やテクニックには

それを「応用しよう」と思った瞬間、

個別化の原則から外れてしまう罠が内在しています。

 

また、専門用語の多用もよくありません。

 

例えば、認知症でよく使われる「帰宅願望」「徘徊」があります。

 

認知症の人はそれぞれ、帰りたい理由、動き回る理由は異なりますが、

「帰宅願望」「徘徊」の言葉で片づけてしまうことが多いです。

 

確かに専門用語は便利ですが、

それに頼りすぎず、自分の言葉で表現する視点も大切です。

 

しかし、相手の気持ちを専門用語なしで言語化するのは

難しくて大変なもの・・・

 

個別化は大切だと知っているけど

ついつい多忙さで省いてしまわぬようにしたいですね。

 

まとめ

 

 「個別化の原則」とは

相談する人が抱える問題は、ひとそれぞれ違うということ。

 

頭で分かってもダメで、直接いろんな人と会い、

「人はそれぞれ違う」という体験を重ねることが大切です。

 

ただし、個別化は面倒であり、経験を積んでいくと

マンネリ化してやらなくなってしまうこともあります。

 

また、知識や専門用語の頼り過ぎも、

個別化の原則を曇らせる原因になりかねません。

 

社会福祉士は試験勉強や仕事を通して、

いろんな知識を覚える職業です。

 

しかし、その学んだ知識が「個別化の原則」を妨げる要素になるため、

知識・専門用語には十分気を付けましょう。

YouTuber・ヒカルの祭りくじ動画、本当の目的は正義と悪の二極化にある

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もう上半期も終わり、

暑い日がやって来そうですね。

 

暑い日と言えば「祭り」ということで、

今回はユーチュバー・ヒカルの祭りくじ動画を 

取り上げてみようと思います。

 

ヒカルの祭りくじ動画とは

数年前、ユーチューバーであるヒカルさんが

祭りのくじをひたすら買占め、

当たりがあるのか検証した動画が大きな話題となりました。

 

続編もあり、最新作では警察も巻き込むなど

その過激さが増しています。

 

その結果、物凄い再生数をたたき出し、

この動画をきっかけにヒカルさんの

知名度が上がっていきました。

 

ヒカルの行動について

 

この動画の目的は祭りでくじを全部買切って、

当たりがあるのか検証するのがテーマです。

 

結局、全部買切れずに終わりましたが、

何十万も出して引いたのに、全く当たりがない事実から

くじ屋の不正を訴えています。

 

その暴露によ子どもが搾取されていることを

皆が知ることができたと支持がある一方・・・

 

グレーなことだから、わざわざ善悪をつけることではないと

それぞれ賛否両論あります。 

 

この動画の本当の目的とは

ヒカルさんの動画は、

「当たりくじがないという不正を暴くため」と

ありますが、それは建前のような気がします。

 

だって、くじ屋に当たりがないというのは、

みんな思うことだし、疑うなら買わなければいいだけ

 

もし、当たる保証もないのに、

何十万もくじにお金を掛けるくらいなら、

普通に買った方が合理的ですしね。

 

ヒカルさんは頭が相当切れる方なので、

そんなことは分かるはず・・・

 

では、なぜそんなことをするのでしょうか。

 

そもそも、ヒカルさんはくじ屋の闇を

暴こうとはしていないんです。

 

ヒカルさんは

すべてのくじを買うことができていないですし、

もし、1つのくじ屋を買い占めて「当たりがない」と証明できても、

他のくじ屋も同じであるいうことはできません。

 

本気でくじ屋の闇を暴くには、相当なお金と労力が必要です。

他の目的があると考えたほうがいいでしょう。

 

では、本当の目的とは・・・

 

くじの中身を暴露することで、正義と悪を二極化させて、

視聴者を増やしたかったからです。

 

そして「正義は勝つ」という言葉があるように、

人は正義の方に流れやすく、

集団の中で悪を叩く傾向があります。

 

ご存知のように、ユーチューバーにとって、

視聴者の数が収入につながっているのは常識。

 

だから、ヒカルさんは「正義」、くじ屋は「悪」という

特撮ヒーローのような臨場感を見せる方法を使ったんです。 

 

しかし、ここで注意してほしいのは、

ヒカルさんは正義のヒーローとして演じているだけで、

偽りの「正義」だということ。

 

結局、ヒカルさんは「視聴者を集めたい」という単純な理由から

正義と悪の二極化という手法を取っただけなんですね。

 

正義のように振る舞い、悪を吊し上げる動画を

まともに受け取ると、ヒカルさんの思惑にハマってしまいます。

 

あくまで、ヒカルさんによるフィクション動画と、

思ってみるといいと思います。

成年後見制度とは何か、その背景と課題について簡単にまとめてみた

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認知症患者が持っている金融財産はどれくらいか

みなさんご存知でしょうか?

 

第一生命経済研究所の試算では、

2017年末で143兆円に上り、

2030年度時点では215兆円に達するとのこと・・・

 

国内にある家計金融資産の1割近くを、

認知症患者が所有する状況になりつつあります。

 

そして、厚労省のデータによると、

2012年時点の認知症患者数は約462万人

軽度の認知症(MCI)約400万人を含めると

約900万人に上る勢いです。

 

今後も高齢化が進み、認知機能低下によって

財産管理ができない人が増加が予想されます。

 

そうなれば、オレオレ詐欺、マルチ商法などの犯罪に

簡単に巻き込まれ、財産を失う危険も増えるでしょう。

 

そうした認知症高齢者などの金融資産を守るために、

成年後見制度という制度があります。

 

今回は「成年後見制度」について、

その背景と課題についてまとめてみました。

 

きっかけは2000年の介護保険制度

 

成年後見制度が誕生したのは、

2000年の介護保険制度がスタートしたときです。

 

この介護保険制度によって、

介護サービスにおいて、措置制度から契約制度へ変わりました。

 

措置と契約とは何でしょうか。

 

措置制度だった時代は、行政が利用者の希望しているサービスの利用可否や、

その人が実際に利用すべきサービスを決定していました。

 

その負担もすべて税金で賄っています。

 

しかし、高齢化率の上昇により、措置制度では財源確保が難しくなり、

40歳以上の人から保険料を徴収して運用する介護保険制度に切り替わります。

 

そして、今まで行政によって自由にサービスを選べなかった

措置制度とは異なり、介護保険制度では利用する介護サービスを

利用者本人から決める契約制度に変わりました。

 

しかし、判断能力が不十分な認知症の人にとって、

自分の意志で介護サービスを決めることは非常に困難です。

 

そんな認知症高齢者の契約をサポートするために

介護保険制度と同年、2000年に成年後見制度が設けられました。

 

成年後見制度とは、その課題について

 

成年後見制度とは、認知症など判断能力の不十分がゆえ、

不利益が生じている人に対して支援者を付けてもらう制度です。

 

その支援者を「成年後見人」と呼び、活用するには

家庭裁判所に申立てが必要になります。

 

もともと認知症高齢者のためにできた制度ですが、

知的障害・精神障害など幅広い人たちが利用しています。

 

しかし、問題点が2つあるんです。

 

1つ目は圧倒的に成年後見を利用している人が少ないこと

 

最新の裁判所データ(平成30年版)だと、

成年後見の立件件数は約35000件しかありません。

 

需要は確実に増えているにも関わらず、

十分利用されていない現状があるんです。

 

なので、2016年に成年後見制度利用促進法が成立し、

現在は厚生省が中心に普及を進めています。

 

しかし、成年後見は使いづらく、費用も掛かるため

なかなか上手くいかないようです。

 

2つ目は、介護保険の契約のために成年後見制度は

ほとんど活用されていないことです。

 

もともと成年後見制度のルーツは認知症高齢者の

介護保険契約を援助するために設けられたもの。

 

しかし、成年後見の大半は預貯金等の管理・解約などの

財産を守るために使われており、本人の意思決定を支援する

活用は少ない状態にあります。

 

まとめ

 

認知症患者が持っている金融財産は143兆円

 

そして、認知症患者数は400万人を超え、軽度の認知症を含めると

900万人を超える勢いです。

 

高齢化に向かう日本で、

判断能力が不十分な認知症の人が金融財産を守る制度として

成年後見制度があります。

 

誕生のきっかけは2000年の介護保険制度で、

利用者本人がサービスを決める契約制度へ切り替わったためです。

 

成年後見制度とは、認知症など判断能力の不十分がゆえ、

不利益が生じている人に対して支援者を付けてもらう制度ですが・・・

 

現在、利用者は少なく、特に介護保険の契約のために成年後見制度は

ほとんど活用されていません。

 

今後、成年後見における意思決定支援を

どう拡大していくのかが大切なポイントだと思われます。

 

 

法務省はヘイトスピーチを解消するよりも、不法滞在者への対応を改めるべきじゃないの

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最近、公民館に行くと法務省の

ヘイトスピーチに関しての黄色いポスターを見かけます。

 

第31回社会福祉士試験でもヘイトスピーチ解消法

が出題されたので、ご存知の方も多いかもしれません。

 

外国人に向けたヘイトスピーチはとても品がなく、

残念に感じてしまいます。

 

しかし、法務省は不法滞在中の外国人に対して

ヘイトスピーチよりもひどい扱いを受けている

現状をご存知でしょうか。

 

今回はヘイトスピーチと不法滞在の外国人について

考えていこうと思います。

 

ヘイトスピーチとは

 

ヘイトスピーチとは「憎悪表現」と呼ばれ、

人種などの違いで暴力や差別を煽る行為とされています。

 

ほとんどの先進国では刑事罰になっているヘイトスピーチですが、

日本では刑事罰になる法律はありません。

 

社会福祉士の試験で出題された「ヘイトスピーチ解消法」も

刑事罰にはならず、他の国に比べると対応が遅いといえます。

 

ヘイトスピーチを罰則にできない理由

 

なぜ日本はヘイトスピーチを刑事罰にしないのでしょうか。

 

それは「表現の自由」だから、できないようです。

 

でも、他人の尊厳を傷つけるヘイトスピーチを

表現の自由と言ってしまうのも、おかしい話ですけどね・・・

 

あと、この法律は日本に不法滞在する外国人などは

対象外なので、極論、犯罪者に対してのヘイトスピーチは

行っても問われないと解釈できます。

 

そして、2016年にヘイトスピーチ解消法は施行され、

法務省が中心となって啓発に取り組んでいます。

 

しかし、法務省もヘイトスピーチ以上に

外国人にひどいことをしているんです。

 

ヘイトよりひどい入国管理センター 

 

みなさんは入国管理センターというのはご存知でしょうか。

 

入国管理センターは不法滞在中の外国人を

一時的に収容する施設で、法務省が管轄し、全国に3か所存在します。

 

実際、ここで収容されている外国人が

長期にわたり職員に暴言や暴力を受けているんです。

 

また、外の景色が見えず、病気が悪化しても

十分な医療を受けることもできません。

 

しかも、法務省は収容の期間を自由に延長できてしまいます。

 

そんな地獄のような環境で、自殺を試みる人たち多くいるんですね。

 

だから、

法務省はヘイトスピーチを解消するよりも、

不法滞在者への対応を改めるべきじゃないの。

と思ってしまいます。

 

実際の現場状況はこの記事で確認できますので、

興味がある方はぜひ読んでみてください。

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